アーケードゲームの迷作・珍作トップ10

令和のゲームセンターはコインゲームやUFOキャッチャーがフロアの8割がたを占めている。

だが、昭和後期~平成初期にかけては様々なゲームがしのぎを削っていた。

その中には名作も数多く存在しているが、迷作・珍作も数多く誕生した。

今回はそんな昔のアーケードゲームの中から名珍作を紹介していこう。

 

目次

10位 歌舞伎Z

発売年:1988年
発売元:タイトー
ジャンル:ベルトスクロールアクション

物語の舞台は江戸中期。
さらなる高みを目指して魔界へと足を踏み入れた剣士の紫音。
紫音を操作し、魔界の妖怪たちを討伐するのが目的だ。

本作は、グロさとシュールな世界観を持つ怪奇ゲーとして知られる。

ひとりの武士の切腹シーンから始まるタイトル前のデモシーン。
介錯人が刀を振り下ろしたその瞬間、急にふすまが閉じられ、血しぶきで「Z」の文字が浮かび上がる。
本編との繋がりはまったくなく、一体どこの誰でなぜ切腹しているのか一切わからない。

タイトルの「歌舞伎Z」もおかしな点のひとつ。
本作の歌舞伎の要素は、ステージ1の中ボスで登場するのみ。
それ以外の歌舞伎要素はまったくないのである。
その内容でなぜ「歌舞伎Z」にしたのだろうか?

極めつけは、世界観の急激な変化である。
おどろおどろしい和風ティストだった本作の世界観。
それが、物語の終盤で中世ヨーロッパ風へと変化する

その次のラストステージはエジプト。

もちろん変わったのはステージだけではない。
和装だった主人公も、剣と盾を装備したマッチョな西洋風剣士に早変わりする。
直前に雷に打たれる演出はあるものの、ストーリーがないので同一人物かどうかすら分からない。
クリアしても何も教えてくれない。

ただただ疑問だけが残される……。

 

9位 霊界導士 Chinese Exorcist

発売年:1988年
発売元:ホームデータ
ジャンル:対戦格闘アクション

麻雀ゲーム制作メーカーのアクションゲーム参入第一弾。
中国の死体妖怪「キョンシー」を題材にした実写取り込みの作品。

ゲームの目的は、キョンシー軍団にさらわれた妹を救い出すこと。
対戦格闘のシステムに、残機や回復アイテムなど独自のシステムが取り入れられている。
操作できるキャラは、主人公である人間の青年のみ。たった一人でキョンシー軍団と戦っていく(全8ステージ)。
どちらかというと対戦格闘ゲームよりもアクションゲームのボス戦の方が感覚は近い。

まず、タイトルが気色悪い。
画面に並べられ、グルグルと回り続けるキョンシーの頭部。
この絵面が既に本作のサイケデリックな世界観を漂わせている。

実写取り込みのキャラクターは人形が使われている。
リアルなのではなくデフォルメされた人形なので、見方によったら可愛らしいデザインに見えなくもない。

プレイヤー側の勝利条件が少し面倒。
キョンシーのライフを0にしてから頭部を攻撃しなくてはならない。
トドメの攻撃でキョンシーの頭部がポトッと落ちるのだが、元が人形だからグロさは無いとはいえ怪奇的演出である。
なお、主人公はライフ0になった時点で頭部を落とされる

モーションがカクカクで、かなり遊びづらい。
静止画を雑に繋ぎ合わせたような動きに加え、キーのレスポンス、CPUの思考ルーチンも最悪。
操作性は当時の作品の中でも最低クラスの酷さである
中間デモやエンディングもなく、妹を助けた描写すらない。

本作の完成度が低いのには理由がある。
当初開発スタッフは、キョンシーとは異なるテーマの対戦格闘ゲームを制作する予定だった。
しかし、「キョンシーのゲームを作れ」という社長の鶴の一声で、企画を強制的に変えられてしまう。
それが原因で開発スタッフはやる気をなくしてしまい、このようなデキになったのである。

ちなみに開発段階では、ステージクリアごとに妹が服を脱ぐ脱衣要素のアイディアもあったそうだ。
また、女キョンシーの戦闘BGMが、なぜかラテン音楽のTaboo (タブー)が使用されている。
加藤茶の「ちょっとだけよ」のBGMと言えば、40代以上の世代ならすぐにわかるネタなのである。

 

8位 ファイトフィーバー

発売年:1994年
発売元:ビッコム(現・ウノテクノロジー)
ジャンル:対戦格闘

開発・発売を手掛けたのは韓国に本社を置くソフトウェア会社ビッコム。SNKのアーケード基盤「MVS」参入作品である。
SNKが自社の「MVS」と「ネオジオ」をアジア圏に普及させるため目をつけたのが韓国のビッコムであった。
SNKと提携を結んだビッコムは、MVSの開発ノウハウを学ぶため数名の開発者を研修生としてSNKに出向させて、「龍虎の拳」や「餓狼伝説2」の開発に携わらせた。
こうして完成したのが、韓国の国技「テコンドー」をテーマにした対戦格闘ゲーム「ファイトフィーバー」なのだ。

ゲームデザインは当然ながらSNK系の対戦格闘に近いのだが、その完成度があまりにも酷いことで有名。
同時期の作品と比べるとグラフィックがチープで、システム周りの評判もすこぶる悪い。
難易度のバランスが悪く、必殺技(ゲーム内の名称は「必勝技」)が出にくい。というか何回コマンド入力してもまったく出ない。
ダメージ判定が曖昧などゲームとして致命的な部分が多いのだ。
そのあまりの酷さにクソゲーのレッテルを貼られ、記念すべきMVS参入は失敗に終わる。
ちなみに韓国国内でのみ、家庭用ゲーム機の3DOとパソコンで続編がリリースされている。

登場キャラクターは8人+中ボス、ラスボスの合計10人。

世界各国のテコンドーの使い手が最強の座を掛けて死闘を繰り広げる。
ラスボスの「空手健児」のみ空手の使い手として明確しており、残りの9人は「テコンドー使い」という設定だ。
だが、いざ蓋を開けてみると、テコンドーのルールに則って戦うのは、主人公格と準主役格のふたりのみ(それでも現実離れしているが…)。
残り7人は、テコンドーからかけ離れた別の格闘技の使い手。体当たりや絞め技、しまいには飛び道具まで、なんでもアリの異種格闘技戦なのである。

某ホラー映画のようなホッケーマスクを被った軍人、黒人のバスケット選手、小太りの原住民など個性豊かな面々(そもそも格闘家ですらない)。
ちなみに我が日本からのキャラクターはミユキ。
本作の紅一点で、レオタードの衣装が印象的な新体操系の女の子。飛びついて顔面ひっかき攻撃したりする。

余談だが、SNKの対戦格闘ゲーム「餓狼伝説」、「キング・オブ・ファイターズ」シリーズに登場する「キム・カッファン」は、ビッコムの社長がモデル。
名前も社長から拝借したもので、キムの息子たちの名前も社長の実の息子から拝借しているのだ。
また、「キング・オブ・ファイターズ’99」で初登場したジョン・フーは、本作の準主役格「キム・フーン」がモデルである。

 

7位 みなさんのおかげさまです! 大スゴロク大会

発売年:1990年
発売元:SNK
ジャンル:麻雀ボードゲーム

当時大人気だったコント番組「とんねるずのみなさんのおかげです」のパロディ作品。
タイトルには「とんねるず」の名前が入っておらず、「さま」が付け加えられて「おかげさまです」になっている。
実はフジテレビに無許可で制作された問題作。局のクレジットがどこにもない。

のりちゃん、カマオ、二人いる対戦相手のどちらかを選んで麻雀勝負しながらスゴロク対決をする。
麻雀勝負時のリアクション、特定のマスに止まったとき見れるコントなどコミカルな演出が楽しめる。
なお、対戦相手の二人は、とんねるずが番組内で扮するコントのキャラクターによく似ているが、決して本人たちではない…。

和了(ホーラ、あがり)の役・翻数に応じてスゴロクの出目が決定する。
対戦相手との麻雀勝負を繰り返し、10万点以上持った状態でゴールすればゲームクリアとなる。
クリア後、選ばなかった方のキャラクターとスゴロク対決がスタート。
ニ戦目をクリアすると、対戦相手を最初に戻して再びスゴロク対決がスタートする。
なんと本作は無限ループ制。エンディングなどは存在しない。スタッフロールすら流れない。
とんねるずモドキこと、のりちゃん、カマオと永遠にスゴロク対決をさせられるのである……。

とはいえ、そう簡単にはクリアさせてくれないのが本作の汚いところ。
とにかくゲームオーバーになりやすい。
持ち点10万点未満でゴールするとゲームオーバー。
ゲームオーバーマスという極悪なマスもあり、その数も地味に多い。

また、スタート地点より後ろに戻されるのもゲームオーバーになる。
「○マス戻る」のマスがあるほか、麻雀勝負に敗北でも戻される。

戻される数は相手の役に応じて決まるため、ゲーム開始時の麻雀勝負一戦目で負けた時点でゲームオーバー確定となる。
そもそも麻雀勝負の時点で難しい。麻雀ゲームの中でも上位クラスの難易度を誇り、そうやすやすとは勝たせてくれない。
イカサマアイテムや有益なマスもあるが、勝敗の結果で出目が決まるため目当てのマスを狙うのも至難の業。
それだけに当時やっとの思いでクリアしたプレイヤーは、無限ループだと知ってかなりショックだったはずだ。

ちなみにコンティニュー画面は、なぜか黄色く発光した頭蓋骨が表示される

コンテニューのカウントが0になると「GAME OVER」と同時にチャルメラの音色が鳴り響く。
パロ先である番組ともいっさい関係なく、まったくもって意味不明の演出で怖い。

6位 リアルパンチャー

発売年:1994年
発売元:タイトー
ジャンル:パンチングマシーン

パンチ力を測定する遊具「パンチングマシーン」に映像演出を取り入れた作品『ソニックブラストマン』の続編。

主人公の名はスーパーソニックブラストマン。

彼は地球外生命体の宇宙人である。
普段は冴えないサラリーマンとして人間社会に溶け込んでいる彼だが、事件が発生するとすぐさま現場へと駆けつけ、自慢のパンチで解決してしまう。
地球の平和を守るために遥か彼方の星からやってきたスーパーヒーローなのだ!

前作同様ステージは5種類あり、任意で選ぶことができる。

パンチ力を測定するためのパッドを3回殴り、各ステージに設けられた合格ラインを合計値が超えていればステージクリア。

合格ライン以下でバッドエンドになる。

ただ、ステージクリアしてもプレイできるのは1コイン1ステージのみ。パンチ力計測後のムービーを見た時点で終了となる。

本作では、新たな機能として筐体にCCDカメラが内蔵されている。
自分や連れの顔写真を撮影し、撮影した顔写真を悪人の顔と差し替えることができるのだ。
「ゲームだから」を建前に、友達の顔に差し替えて思いっきり殴れるほか、お互いの顔写真を使った対戦モードでの勝負もできる。

本シリーズの最大の魅力。それは、何と言ってもツッコミどころ満載のストーリー展開だろう。
例えばステージ1は、ソニックブラストマンのコスチュームを欲しがる成金野郎が相手だ。

ソニックブラストマンが変身したままBARで飲んでいたら、そのコスチュームを金で譲ってくれと肥満体型の中年男性「成金野郎」が詰め寄ってくる。
断られても、殴られても諦めずに交渉を続ける成金野郎。
ステージクリアで、成金野郎をノックダウンさせて交渉が決裂になる。

ただし、パンチの風圧でBARをメチャクチャに破壊してしまい、バーテンダーがご立腹というオチが待ってる。

バッドエンドだと、強引にコスチュームを脱がされてパンツ一枚のみという醜態をさらすが、パンチの風圧が弱かったせいでBARは事なきを得る。

このようにスーパーソニックブラストマンは、周りのことをいっさい考えない迷惑な一面がある。
常に全力全開でトラブルを解決しようとするがゆえ、第三者を巻き込んで甚大な被害を与えてしまうのだ。

本作では、5つのステージ中3つがソニックブラストマンの被害に遭っている。
BARのほか、ガソリンスタンド、市街地を破壊している。

特に酷いのがステージ3の市街地だろう。
標的は市街地を襲う巨大ロボット。
人々の危機に、ソニックブラストマンは自慢のパンチでロボットを破壊するのだが、一緒に市街地も破壊してしまう。
正義のヒーローに破壊されるか、巨大ロボットに破壊されるのかの二択しかない市街地に待ち受ける残酷な運命。
あまりにもかわいそうすぎる。

市街地を一瞬で瓦礫の山と化にして悪びれない正義のヒーローは、後にも先にも彼だけであろう……

 

5位 ずんずん教の野望

発売年:1994年
発売元:セガ
ジャンル:半固定画面シューティング

踊りによる世界征服を企むカルト宗教団体ずんずん教。
日本、欧州、米国、アジア、世界各地で踊り狂うずんずん教の野望を阻止するべく、仏様たちは金地蔵、銀地蔵を派遣する。

ゲームの目的は、ずんずん教を壊滅させること。
各支部のステージ構成は、3エリア+ボス戦の全4エリア。増援を含めた画面内の敵をすべて倒したら次のエリアに移動できる。
4支部すべてクリアでラストステージの本部が出現(全3エリア)。
本部をクリアすると感動のエンディング…にはならず、「2周目は地獄の一丁目」がスタート。難易度アップした2周目が始まる。
この2周目クリアでようやくエンディングとなる。

「ずん、ずん、ずん」と奇怪な音声に合わせて、タイトル画面で踊るシルエット。
アトラクトデモ(プレイデモ画面)では、「このゲームはいかなる宗教とも関係ありません」との注意書き。

各エリアのゲーム開始時、「ずんずん教、ずんずん教」と音声付きで吹き出しが表示される。
「ずんずん教」の狂気と怪しさを際立てさせる演出がところどころに散りばめられているのだ。

この「このゲームはいかなる宗教とも関係ありません」、実はこれネタではなくガチの注意書き。
本作が開発~稼働開始した当時、オウム真理教がヤバい宗教団体と噂になっていた時代(翌年の95年にサリン事件)。
この「ずんずん教」を開発したのは「港技研」。バンプレストの前身「コアランド」の元社員たちが、バンプレストを退社して立ち上げたソフトウェア開発チームである。
コアランドは過去に時事ネタを扱った問題作を開発した前例があった。

そのコアランドの魂を受け継ぐ元社員たちが開発した作品。何か問題になるようなことがあるかもしれない。
宗教ネタにセンシティブになっていたこともあり、セガ開発部「セガAM1研」は、長期間かけて入念にテストプレイを行った。
そして、上述の注意書きと、開発は「港技研」と表記することを条件に発売の許可を許された。

一見すると相当ヤバそうな作品に思えるが、ただのギャグテイストが強いコミカルなシューティングーム。子供でも安心して遊べる内容だ(テスト時に修正した可能性もあるが…)。
登場する敵も、その土地の風習や流行を反映させたものばかり。
日本支部では、ジュリアナ(当時流行ったディスコ)のボディコンギャル、千鳥足の泥酔サラリーマンなどが地蔵(プレイヤー)に襲いかかってくる。

ただ、とっつきやすいキャラクターデザインに反して難易度が高いのがネック。

弾を2発当てないとザコ敵が死なないなど1周目クリアすら難しい。

4位 トリオ・ザ・パンチ

発売年:1990年
発売元:データイースト
ジャンル:横スクロールアクション

開発・発売したデータイーストのすべてが詰まっていると言っても過言ではない作品。
剣士のローズサブ、タフガイのサントス、忍者のカマクラくん。

個性豊かな3人のキャラクターの中から一人選び、全35のステージを攻略する。

各ステージに待ち受けるボスを倒せばステージクリア。
ボスの出現条件は特定の敵が落とす「ハート」を集めることだ。わりとバンバン落とすので時間はさほどかからない。
各ステージ構成もスクロール約3~5画面分の無限ループと短く、ひとつのステージあたり数分程度で終わることができる。
ただし、その分ステージ数が多いのがネックでもある。

ボス戦後には、ボーナスゲームの「クリアー たからくじ」というルーレットにチャレンジできる。
ライフの回復(持ち越し制)、メインウェポン(通常攻撃)・サブウェポン(回数制の切り札)の強化、ハズレ枠であるウェポンの弱体、キャラの再選択などがある。

本作の注目すべき点は、なんといっても異質すぎる世界観だろう。
シュールで奇抜なゲームデザインがクセになり、意外とファンも多い。
実はプレステ、Switchに配信されてたりもする

まず、キャラクターが濃い。あまりにも濃すぎるのである。

主人公3人のキャラデザインのインパクトがとにかく強烈。
彼らの濃ゆい顔がプレイヤーの脳裏に焼き付ける。
ちなみに「クリアー たからくじ」の進行、エンディング、力試しのボスとして登場する3人の師匠チンさんも、弟子に負けず劣らずの濃いデザインである。

キャラクター選択画面で表示される3人のポーズだが、実はこれ香港映画の『複製(クローン)人間ブルース・リー/怒りのスリー・ドラゴン』をパロったっもの。
この作品は、ブルース・リーをオマージュしたB級映画。複製(クローン)=そっくりさんで、本人が出演しているわけではない。
そんな映画をパロディ先として選ぶ開発者のセンスが凄い。

遊び方が書かれた簡易説明書インストラクションカードの名前が「お手並」になっている。
「手並み」は腕前、技量という意味だ。インストラクションカードがお手並?というか「おてな」?
いったい何がお手並なのだろうか?
ちなみにこのお手並には、メインウェポンが「ビシバシ攻撃」、ジャンプが「パッとジャンプ」、サブウェポンが「ここ一番!」と変な名称で表記されている。

ステージは古代、森林、現代風の市街、SF風の未来基地など様々。

ただ、ストーリーがないので、どういった理由で時空間を移動しているのか?まったくもって不明なのである。

ステージの一部には、サブタイトルが付けられている。
どれもステージのテーマに沿ったものだが、ステージ2の「にょき」など分かりにくいのが多い(地面から棒みたいのがニョキニョキ伸び縮みするから「にょき」)。

もちろん敵も個性豊かで変なのが多い。
密林が舞台のステージ5のボスは、森の背景に似つかわしくないピンク色の羊。

倒すと「呪ってやる」とメッセージを残して操作キャラクターを羊に変えてしまう。

ただ、見た目以上に強くて使い勝手がいい。

それだけにステージ6限定なのが残念なぐらい。

某有名フライドチキンチェーン店の創業者にとてもよく似た敵も登場する。
倒すと青い鳥が出現してフライドチキンをばら撒く。
ネタ的にかなりヤバめだったからなのか、配信版では別の敵に差し替えられているのが残念なところだ。
このほかにも同社の代表作「カルノフ」、「チェルノブ」の主人公(タイトルと同名)もボスとして登場する。

コンティニュー画面では、なぜかミケランジェロの「瀕死の奴隷」が写実的な描写で表示されている。
コンティニュー再開すると、写実的だった顔が、子どもが描いたような落書き顔に変化する。
この突拍子もない演出が、逆に不気味で気味悪い……。

 

3位 Pu・Li・Ru・La(プリルラ)

発売年:1991年
発売元:タイトー
ジャンル:ベルトスクロールアクション

ファンシーでメルヘンチックなグラフィックが可愛らしい作品。
難易度も低めでエンディングまでの敷居が低い。
その親しみやすい世界観と難易度の低さから、小さな子供や女性も楽しめると言いたいが……。

時の番人が管理する「ゼンマイネジ」が悪いやつに狙われている。
このゼンマイネジは、街の時間の流れをコントロールするとても大切なもの。
それを知った発明家のおじいさんは、孫娘のメルと町の少年ザックのふたりに、町を守るために作った発明品「魔法の杖」を託す。

システムが単純でゲーム初心者でも手軽に挑戦できる。
まるで童話の世界ようなグラフィックデザインも評価が高い。
ただし、ほっこりする親しみやすい世界観はステージ2まで。
何とステージ3からサイケデリックな妄想世界に突入する

ステージ背景に登場する実写取り込みの男性と女性。

女性は、ポール(ポールダンスの棒)を水平の姿勢でグルングルンと回り続け、近寄ってきた男性を画面に叩きつける形で場外に蹴り飛ばす。


これまでの世界観に似つかわしくないシュールな光景である。
この女性と男性は当時タイトーに勤めていた社員(開発もタイトー)。
まさか社員も大手に入社して実写でゲームに出演するとは夢にも思わなかっただろう。

次に待ち受ける狂った演出は巨大な脚ゾーンである。
建物の壁から突き出てるのは、赤いニーハイブーツを履いた巨大な両脚の障害物。


M字開脚でセクシーさをアピールしている。
この両脚の間の壁にはドアがあり、いきなり中から動物の「ゾウ」が飛び出してくる。
そして、その部屋の奥には地球のような丸い球体が置かれている。
両脚…股の間、ゾウ、球体、つまりそういうことである。

壁に埋まった巨大シスターの舌なめずり攻撃。

トンボらしき飛行系の敵からは、コント55号の坂上二郎(萩本欽一の相方)のギャグ「飛びます飛びます」がスタッフらしき音声で流れる。
待ち受けるボスが歌舞伎役者などステージ3の狂気度がヤバい。

ステージ3をクリアすると次からは元のメルヘンなステージに戻る。
ただ、ステージ3砂漠のボスが、コテカ(一部部族の男性が局部を隠すのに身につけてるアレ)を装着した部族。
ラストステージの手前でボーナスステージに突入するのだが、そこに登場するのが下半身が生えた魚。
また、ラスボス戦(1戦目)では、背景の壁が目(眼球ではなく目)で埋め尽くされている。
ところどころで気持ち悪い演出があり、ステージ3以降も狂気が完全に拭いきれていない。

 

2位 大江戸ファイト

発売年:1994年
発売元:カネコ
ジャンル:対戦格闘

異色の対戦格闘ゲーム「富士山(フジヤマ)バスター」の続編。
前作の「外国人が勘違いした江戸時代」を継承しつつ、さらにぶっ飛んだ作品にパワーアップしている。

舞台は江戸時代のはずだが、なぜかステージ背景に高層ビルが見えたり、優勝商品が車などツッコミどころが満載だった前作。
この前作から変化した点のひとつが、キャラクターが実写取り込みになったことだろう。

一部を除き、実写のモデルはジャパンアクションエンタープライズ所属のタレントが演じており、ステージ背景を日光江戸村で収録している。
肝心の登場キャラクターは、金四郎(侍)、秀月(将軍)、嵐(忍者)、獅子丸(歌舞伎)、三平(河童)、五右衛門、弁慶、一休(地蔵)、霞(くノ一)の9人。

前作から引き続き登場しているのも多い(新キャラは地蔵とくノ一)。

キャラクターデザインはどれも奇抜で、当時のセンスで見ても明らかにダサい。
秀月の勝利時のセリフが「しゃぶしゃぶ」など前作同様ツッコミどころも多く、プレイヤーたちを失笑へと誘った。

もうひとつの変化点は残虐な演出になったことだ。
その過激な表現から、スプラッター演出で有名な海外の対戦格闘ゲーム「モータルコンバット」の和製版とも言われた。
とにかく斬りつけたときの出血量が多い。とにかくドバッと出るのだ。

2ラウンド先取時、ボタン操作で対戦相手を惨殺するトドメの演出が発動する。
真っ二つや爆散など当時の国産アーケードゲームの中ではトップクラスにグロい。
……グロいのだが、さすがに血の量が大げさすぎで、惨殺演出の作り込みも詰めが甘い。
キャラデザのダサさも相まって、せっかくの演出が少し滑稽に見えてしまうのが残念な点である。

この実写と残虐演出。実は本当に「モータルコンバット」を目指したことによるもの。
カネコの社長が海外研修に行った際、当時海外で流行っていた「モータルコンバット」の影響力と、海外の関係者から「バイオレンスを取り入れた方が流行る」と言われて思い立ったそうだ。

もちろん小中学生でも安心して遊べるよう、出血と惨殺演出を排除した「Bloodless version(無血版)」も稼働していた。
ただ、演出云々の前にゲームバランスそのものが酷く、ヒット作には至らなかった(意外と熱狂的なファンは多い)。
ちなみにカネコは、ソニーとセガに家庭用ゲーム機(初代プレステ、セガサターン)の移植の話を持ちかけているが、当然ながらニ社には断られている。

1位 ダンシングアイ

発売年:1996年
発売元:ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)
ジャンル:アクションパズルゲーム

一部の間でカルト的人気を誇った伝説のパズルゲーム。
キャッチコピーは「女体にサル」、「これが全く新しいアクションパズルゲームだ! ちょっと怪しめ」。
キャッチからして既に怪しめだ。

方眼紙やマス目を描いた紙を使って陣地を取り合う遊び「陣取りゲーム」。本作はこれのコンピューターゲーム版である。
似ているジャンルだと、タイトーの「クイックス」などが有名。
ただ、「クイックス」のように平面のフィールドに自由に線を引いて切り取るタイプとはシステムが一味違う。

まず、本作のフィールドは立体の3Dオブジェクト。
オブジェクトの表面にはパネルがマス目状に設置されており、制限時間内に設置されたパネルすべて消去するとステージクリアとなる。

操作キャラクターは、「宇津木 次郎」という名の動物のサル。

サルが移動可能な範囲は、マス目状に繋がったパネルの枠線のみ。
枠線に始点となる杭を打ち、そこからラインを引いてパネルを囲うことで消去できる。
ラインを引いている間は移動速度が落ちるため敵に接触するリスクがあるが、パネルをまとめて消すと得点アップに繋がる。
敵をパネルと一緒に巻き込んで倒したり、便利なお助けアイテムもある。

ここからが本題。本作の問題というべき狂気の部分だ。
ステージの舞台である3Dの立体オブジェクトだが、それがなんと「女体」なのである。

女体つまり「女性の体」そのものがフィールドであり、消していくパネルというのが「彼女たちが着ている衣服」のことだ。
つまり、クリア条件である「すべてのパネルを消す」とは、着ている衣服をすべて剥ぎ取って「下着姿」にさせるということ。
今の時代では考えられないゲームシステムなのだ。
なお、ステージクリア後は、お待ちかねのご褒美タイムが待っている。
攻略した下着姿の女性のダンスシーンを好きなアングルで15秒間も鑑賞できるのである(クリア状況によって10秒間)。

ステージ数は全部で15ステージ。
各ステージごとに、3種類あるオブジェクトの中からひとつ選び、そのオブジェクトの攻略を目指す。
通常の3択が13ステージ、オブジェクト固定が2ステージ(14面、15面)、総計41種類ものオブジェクトが登場する。

ただし、女子高生の制服の下が体操着だったり、牢屋に囚われた女性を助けるなど下着姿にならないのもある。


また、すべてが女性キャラではなく、車や犬なども混じっている。
ラストステージの15に至っては、パイナップルを丸ごと被った二頭身のキャラクターなのである。


そのパイナップルの中身は、顔のでかい少しキモめのおっさん。
当時攻略したプレイヤーはラストのオチに相当がっかりしたに違いない。

小さな子供でも遊べるようキッズモードも搭載(店側で設定)。
女性のステージはすべて差し替えられ、ステージ1~8をループする仕様になっている。

基盤は初代プレステと互換性のある「SYSTEM11」(ほかの代表作は、鉄拳1、鉄拳2、ソウルエッジなど)。
今の時代に見るとかなりショボいグラフィックだが、これでも当時は高水準のグラフィックでクオリティが高かった。
また、オブジェクト同士の繋がりやプロフィールなど、キャラ設定も意外と作り込まれている。
さすがナムコと言いたいところだが、女性の服を剥いで下着姿にさせるそのゲームデザインから、「どうしたナムコ!?」の気持ちの方が遥かに強い。
ちなみに開発コードネームは、女体+クイックス=「ニョタックス」なのだそう。

初代プレステで移植予定があったが、やはり内容に問題あったせいなのか開発中止に。
2011年にプレステ3でリメイク版をリリース予定であったが、こちらも開発中止になっている。
一部界隈では、最新技術でのリメイクが待ち望まれている作品のひとつだが、今後も発売されることはなさそうだ。

シェアする?
  • URLをコピーしました!
目次