夏になると必ずと言っていいほど悩まされるのが蚊。
蚊は、ハエ目糸角亜目カ科に属する昆虫である。ナガハシカ属、イエカ属、ヤブカ属、ハマダラカ属など35属、約2,500種が存在する。ヒトなどから吸血し、種によっては各種の病気を媒介する衛生害虫である。カの最も古い化石は、1億7,000万年前の中生代ジュラ紀の地層から発見されている。(引用元:カ|wikipedia)
なんと、1億7000万年前からほとんど姿を変えずに生き残っているのだ。
生物のほとんどが生き残るために体を大きくする方向に進化したが、蚊は全く逆の方向に進化した。それでもこれだけの期間生き残っているのは蚊の”特殊能力”によるものだ。
今回は人類の大先輩であり、人類最小の敵である蚊の特殊能力を紹介しよう。
6位 大食い能力
やはり色々な能力を使って獲物から気付かれにくくしているとはいえ、血を吸う間は命の危険が付きまとう。
そのため、血を吸う回数をできるだけ少なくするために、一度に吸う血の量を増やす方向に進化した。
なんと、一度に自分の体重と同じだけの血を吸うことができるのだ。
5位 麻酔能力
いくら蚊が小さいとはいえ、皮膚に何かが突き刺さると痛みや違和感を感じる。それほど動物の痛覚や触覚は敏感なのだ。ただ、蚊はこの問題も特殊能力で解決している。
蚊は血を吸う前にまず血液が固まらないようにする抗凝固成分を含む唾液を注入する。これで血を吸い終わった後に針(口)が抜けないという事態に陥らないようにしている。
ただ、この抗凝固成分は注入すると多少痛みがあるので、痛みを和らげる麻酔成分も同時に注入する。麻酔のおかげで刺されている部分は約3分間は痛みやかゆみを感じないようになる。
ただ、これらの成分は人体に有害なので後でかゆみが襲ってくるのだ。
4位 学習能力
蚊に刺されそうなときに手で叩くと、蚊は死にそうになった体験とその人の匂いを結びつけて覚え、その人を避けるようになるという研究結果が発表された。その時の実験は以下の通り。
蚊は、人間などの美味しい獲物から漂うある種の匂いに引き寄せられる。そこで、蚊には非常に魅力的な人間の匂いが漂う中で、ネッタイシマカが刺すのを邪魔するように、叩いた際に腕を伝わるのと同程度の小さな振動を20分間にわたり繰り返した。
すると、蚊はその後24時間以上もこの匂いを避けるようになることがわかった。その効果は、害虫忌避剤ディートを用いた市販の虫よけスプレーと同じくらいの強さである。(引用元:ジェフ・リッフェル氏の論文)
要するに蚊は一度危険を感じた獲物からは吸血しなくなるということだ。あれだけ小さい脳みそでこれだけのことを考えているというのは不思議だ。
3位 飛翔能力
寝ている時に蚊の羽音がするとイライラが有頂天になってしまう。この羽音は蚊のはばたく回数が異常に多いことが原因で起こる。
蝶の仲間は8回から10回。バッタは18から20回。トンボが20から30回なのに対して、ミツバチやハエの双翅目は190回から200回と激しく羽を打ち振ります。しかし、これらに比べても蚊の仲間の羽音周波数は350回から600回と桁外れに多いのです。(引用元:Yahoo!知恵袋)
なぜこれだけの回数はばたくのか。
これはヘリコプターのように空中でホバリングするためである。
獲物の近くでホバリングして、なるべく正確に血管の場所、叩かれにくい場所を探すために必要な能力なのだ。
2位 針の構造
引用元:WAOサイエンスパーク
蚊の口のように見える部分は実は1本ではないということをご存じだろうか?実は蚊の口は実に6本もの針でできているのだ。
上記の図が分かりやすい。
まずはのこぎり状になった針で皮膚を切り、その後に実際に血を吸う口を差し込むのだ。こののこぎり状の針は動物が痛みを感じにくい構造になっている。そのため、注射針を開発しているメーカーは蚊の口の構造を使った針を開発している。完成すれば注射が怖い物ではなくなる。
1位 探索能力
何と言っても蚊の特殊能力で一番凄いのは獲物を見つける能力。絶対に獲物を間違えないように様々な能力を駆使している。
- 二酸化炭素探知能力
- 温度感知能力
- 湿度感知能力
- 乳酸感知能力
- エネルギー感知能力
1.動物の呼気から出てくる二酸化炭素を探知 2.体温を感知して場所を特定 3.4.発汗による湿度と皮膚が薄い部分を乳酸の濃度で特定 という流れで獲物を探し出す。
さらに、蚊は血管以外の場所を間違って刺すことがない。これは5.エネルギー感知能力を用いているためだ。
人間の皮膚の内血管が表面にあるのは全体の1~2%ほどしかない。だが、蚊は血液中の赤血球に含まれるATP(エネルギー物質)を感知して血管を探りあてる。