短命な生き物の代表といえば、セミだ。
セミの一生は1週間と言われているが、平均すると1か月くらい生きるようだ。
それでも人間と比べれば、とても短い一生だが。
土の中で約7年(10年以上過ごすセミもいるようだ)過ごすが、地上に出ると1か月程で死んでしまう。
さて、今回はそんなセミよりも短命な生き物を紹介していこう。
10位 ラボードカメレオン
寿命 :5か月
生息地:マダガスカル
全長 :オス23-31cm、メス15-25cm
マダガスカル南西部の固有種で、カメレオンの中で異常に寿命が短い種として有名。
この寿命の短さゆえに飼育に向かないため、動物園等でもほとんど見ることができない。
ピノキオのような鼻とトリケラトプスのような後頭部の突起が特徴的。
4月~10月の乾季は卵で過ごし、11月~3月の雨季の期間だけ成体として過ごす。
11月に産まれ、3月に死ぬというスパンを毎年繰り返している。
産まれたすぐは約2㎝の大きさだが、2か月後には成体の8㎝まで成長する。
卵の中で9か月過ごすことを考えても、産まれて5か月の命というのは短い。
9位 ウスバキトンボ
寿命 :3か月
生息地:全世界の熱帯・温帯
全長 :44-54mm
日本では毎年夏~秋に全国で見ることができる。お盆の時期に急に現れるため、先祖の魂が返ってきたという意味を込めて精霊(しょうりょう)トンボとも呼ばれることがある。
また、赤とんぼと色が似ているため、1つにまとめて赤トンボとも呼ばれている。
厳密には赤トンボはアキアカネやナツアカネのことである。
成虫になった後は3か月ですべて死んでしまう。
幼虫の状態でも日本の冬は越せないため毎年冬に絶滅して、次の年に南国から海を越えて渡ってくる。
唯一沖縄の八重山諸島では幼虫の状態での越冬が確認されている。
8位 Seven-figure pygmy goby(ハゼの一種) 2か月
〘撮影者:By Rob – Flickr: Candycane Dwarfgoby, Bunaken Island, CC BY 2.0,』
寿命 :2か月
生息地:東南アジアのサンゴ礁
全長 :1.5㎝
Seven-figure pygmy goby(ピグミーゴビー:小さいハゼの意)はまだ和名がついていない。
脊椎動物に限れば、最も寿命が短い生物だ。
このハゼは体が小さく、メスが1度の産卵で400個程度の卵しか産めない。
「数が産めないなら、何度も産もう。」ということで、短いスパンで産卵を行うために寿命を短くしたという説が有力だ。
魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類
7位 イエバエ 1か月
寿命 :1か月
生息地:全世界(極地を除く)
全長 :4-9mm
世界で最も広範囲に生息域を広げた昆虫とされている。
名前の通り、人の家がある場所には必ず発生する。
成虫の寿命は約1か月で、50~150個の卵塊を4~5回産む。
卵は0.5~1日で孵化し、幼虫(ウジ)で約7日過ごす。その後サナギになり、約4日で成虫へと羽化する。
卵から成虫になるまで約12日間というものすごい成長スピードである。
6位 アリ(ドローンアント)
寿命 :3週間
生息地:全世界
全長 :種による
「ドローンアント」とは、女王アリと交尾する為だけに生きているオスのアリのこと。
ドローンアントはアリにしては珍しく、まったく働くことはない。
子孫を残すだけの為に生まれ、女王アリと交尾が終わると死んでしまう。
アリのコロニーを存続していく為には非常に大切な存在だ。
働きアリの寿命はおよそ1年~2年なので、それに比べるとかなり短い。
本当に交尾だけのために産まれるアリなのだ。
ちなみに、女王アリは長寿で、種類によっては30年近く生きる。
その間に雄アリと交尾をして受精嚢(じゅせいのう)という器官に精子を常温保存しておく。
この精子を少しずつ消費して、数十年間子供を産み続ける。
5位 蛍
寿命 :2週間
生息地:全世界(極地・砂漠を除く)
全長 :種によるが30㎜程度
蛍も短命で有名な生き物だ。
蛍は昔、夏になると沢山みられたが、今では環境破壊が進み珍しくなりました。
蛍はすべて光るわけではなく、発光する蛍は「ゲンジホタル」と「ヘイケボタル」など限られた種類だけだ。
ゲンジホタルに至っては卵、幼虫、成虫と一生を通して光ることができる。
卵の時点から光るというのは生存戦略上あまり好ましくないような気もするが…
基本的に光るのはオスで、腹に発光器が2つついている。
「プロポーズ」「刺激」「敵を驚かす為」の光が3種類あると言われている。
2週間という短い時間で繁殖をし、儚く死んでいく。
4位 ワカレオタマボヤ
寿命 :5日
生息地:世界中の外洋域
全長 :数㎜
名前の通りオタマジャクシのような見た目をしたホヤ。
一生を泳いで過ごす。ただ、一生と言っても寿命は5日間。
卵から死ぬまでの寿命が5日というのはかなり短い。
分泌物を出して体のまわりに透明な膜を作り、それを網のように使いエサを捕食する。
成長すると卵と精子を作り、最後に体がはじけて卵と精子を海中にばらまき死んでしまう。
その際にバラバラになった体は深海に沈み、その様子はダイバーの間では「マリンスノー」と呼ばれている。
その後、卵は海水中で急速に育ち、受精後6時間で孵化し、20時間でエサを食べ始める。
そして、5日で完全な成体になる。
3位 腹毛動物(ふくもうどうぶつ)
『引用元:Nebarnix, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons』
寿命 :3日
生息地:熱帯・温帯の淡水
全長 :最大で1㎜
腹毛動物とは、水中に生息している非常に小さな生物の総称。
イタチムシなどがこの種に分類されている。
お腹に微小な毛が生えており、それを動かして水の中を移動する。
自ら繁殖をして数を増やすことができ、単為生殖(たんいせいしょく)を行うのではないかと考えられている。
他にも単為生殖を行う生物には、ミジンコやカイガラムシ、ゴキブリなどがあげられる。
(※単為生殖生物はメスしかいない時に単為生殖を行い、オスが発生すると雌雄による生殖を行う。)
1個体で生食が完結するため、産まれて3日ほどで子孫を残して死んでいく。
人間が週末を過ごす間に一生が完結してしまうと、ダラダラとした週末は過ごせなくなる。
2位 カゲロウ
寿命 :24時間
生息地:世界中の熱帯・温帯
全長 :2-3cm
カゲロウは、3億年前から存在していたとされている。
そのため、羽を発達させ最初に飛んだ昆虫とも言われている。
世界には約2500種類のカゲロウの種類が存在しているが、その中には24時間よりもっと短い寿命の個体もいるようだ。
幼虫の姿で2、3年過ごす。
カゲロウの成虫は元々口が退化しており、エサを食べることができない。
食事は一切取らずに、繁殖のためだけに成虫になるということだ。
オスは繁殖作業が終わると死に、メスも水面で卵を産むと死んでしまう。
1位 ウミユスリカ(ブユ)
寿命 :1時間
生息地:ヨーロッパ沿岸
全長 :数㎝
Clunio marinusという種類のユスリカは、ヨーロッパを主な生息地域としている。
幼虫時代は海中で過ごし、成虫になると海上に出てくる。
蚊とは異なり、血を吸うことはない。
カゲロウと同じくして口が退化している為、食べ物を摂取することができない。
卵から成虫になるまで約3週間だが、成虫になった後の寿命はたった1時間程しかない。
たったの1時間だ。
大人になった瞬間に死んでしまうとは、恐ろしいほどの短命である。
この1時間の間に「婚活」「交尾」「産卵」を行わなければならないのだが、産卵の段階が非常に難易度が高い。
交尾を終えた雌が卵を産み付けるのは、海底に生えている海草だ。
ウミユスリカの生息地域では海底が海上に現れるのは2週間に1度のわずかな時間だけなので、潮が一番引いた時に交尾をしないと産卵できずに死んでしまう。
そのため、ウミユスリカはこの時間をめがけて一斉に羽化をするのだ。
その様子は圧巻で、絶対に近寄りたくないレベルで虫の大群が飛んでいる。
こうしてウミユスリカは1時間の短すぎる生涯を終えていくのだ。
まとめ
短命の生き物についてのランキングはいかがだったろうか。
生物の生きる目的は繁殖だ。
この目的のためだけに産まれ、目的を果たして死んでいく。
その生きざまを見て何か感じるところがあるのではないだろうか。