醤油をたらして焼いても、鍋に入れても美味しい。スーパーに並んでいるものを買って食べても美味しいが、やはり一番はキノコ狩りをして食べることだ。自分で採って食べるキノコは一段と美味しく感じられる。
アニメなどで毒キノコと言えば、紫色や赤など分かりやすい色をしている。しかし、実際は他の食べられるキノコと見た目はほとんど変わらない。これを完ぺきに見分けるには膨大な量の知識が必要だ。
そこで、食べたら死んでしまう、もしくは重篤な後遺症に苦しむものだけをランキング形式で紹介しよう。その他の毒キノコは1週間寝込んだりすれば治るのでそこまで気にしなくてもいい。
スーパーに売られていたら間違いなく買ってしまうような見た目のカキシメジ。実際にキノコ狩りで食用キノコと間違えて持ち帰り食べる人が多い毒キノコだ。誤食例の数は多いが、毒性はあまり強くないので国内での死亡例は今のところない。
毒の成分は「ウスタル酸」で、少量の「青酸化合物」も含まれている。食べてから30分~3時間ほどで、腹痛、下痢、嘔吐などの症状が出始める。酷い場合は意識障害を生じる恐れもある。
9位 スギヒラタケ
引用元:スギヒラタケは食べないで!|農林水産省
夏の終わりから秋にかけて杉の幹に多くの傘が重なったように生える。大きさは2~6cmほど。かなり最近までは食べられるキノコと思われていたので山で採集して食べる人が多かった。しかし、2000年ごろから、スギヒラタケを食べたことによるものと思われる脳炎を発症する人が続出した。
毒の成分はまだ不明なことが多いが、青酸化合物を含んでいることが分かっている。しかし、青酸化合物が脳炎を起こすという事実は知られていないため、別の物質が毒性の主成分であるといわれている。
毒の主成分が分かっていないため、有効な治療法は無く、人工透析で毒を体外に出すのが唯一の解毒手段だ。
過去にはスギヒラタケが原因と思われる脳炎による死者が17人に上った年もあったようだ。
8位 ベニテングタケ
ベニテングタケほど毒があるオーラを前面に出している毒キノコは無いだろう。ディズニーの映画に出てくるような色、形をしており、これを食べる人はかなり頭がよろしくないと言わざるを得ない。
ベニテングタケの毒の主成分は”イボテン酸”だ。このイボテン酸は「株式会社味の素」が作っている味の素に入っている旨み成分「グルタミン酸」の10倍旨みがあるとされている。ということは、食べるととても美味しいのかもしれない。
体内でイボテン酸が”ムッシモール”という物質に変化して更に強い毒性を示す。この物質は神経伝達物質の放出を阻害する。そのため、幻覚や発汗、痙攣などの神経症状が起こる。
マリオもこのキノコを食べてハイにることでジャンプ力が上がっているのかもしれない。
6、7位 タマゴテングダケ・シロタマゴテングダケ
キノコが卵から生えてくるように見えることからタマゴテングタケという名前がつけられた。この可愛い見た目とは裏腹に、キノコマニアの間ではとてもポピュラーな毒キノコだ。主に北海道で見ることができる。
タマゴテングタケを摂取してから24時間は症状は出ない。この潜伏期間の後に嘔吐、下痢、発熱などの症状が出る。この症状が治まった後に上位の毒キノコ特有の肝臓障害、腎臓障害という主力の症状が出てくる。
主力の症状が出てきた場合高確率で死にいたるので、最初の段階で病院を受診しよう。
毒の主成分は「アマニチン」だ。
5位 シャグマアミガサタケ
引用元:Gyromitra esculenta|MushroomExpert.com
まるで、脳みそが地面から生えてきたかのような見た目のキノコ、それが『ジャグマアミガサタケ』だ。まさかこんなグロテスクな見た目の毒キノコを採って食べる人はいないだろうと思うかもしれないが、実はフィンランドでは毒を抜く下処理をして食用として用いられている。
毒成分はジロミトリンと、モノメチルヒドラジンという化合物で、肝臓、腎臓、腸、膀胱に障害を与える。さらに長期間食べ続ければ胃がんを発生させることが知られている。
このキノコを食べると食後5~10時間たってから吐き気、嘔吐、下痢、痙攣、腹痛を起こし、更に体内のいたるところから出血を起こす。重症の場合は数日で死に至ってしまう。
さらに、この毒性分は熱に強く、煮沸すると気化する。他の毒キノコの毒は煮沸しても毒性が残るものはあるが、気化して人に害を与えるのはこのジャグマアミガサタケだけだろう。
4位 ドクアジロガサ(コレラタケ)
引用元:ドクアジロガサ?|世話要らずの庭
毒性の強さから自分の名前が変わったというエピソードを持つ毒キノコ。もともと『ドクアジロガサ』という名前だったが、症状がコレラの症状に非常に似ているため『コレラタケ』に改名された。こんな珍しいエピソードを持っているのだから毒キノコ界でも相当大きな顔をしていることだろう。
毒の成分は『アマニチン』だ。上位の毒キノコ達は好んでこの毒を用いてくる。コレラダケを摂取後10~24時間後症状が出る。主なものとしては、下痢、発熱、嘔吐があり、1日で収まってしまう。本当の地獄はここから始まる・・・。
嘔吐などの急性症状が起きた次の日には肝不全・腎不全という人間を死に至らしめるための主力の症状が出始める。重症の場合この二つの症状で死に至る。解毒剤が見つかっていないため、胃洗浄で吸収される毒を減らしたり、血液透析をして体内の毒をこし取るしかない。
アマニチンは熱に強いため、煮ても焼いても毒性は変わらない。
実際に人間を死に至らしめた例は少ないが、毒の強さにより名前が変わったという点により4位にランクインした。
3位 カエンタケ
引用元:カエンタケ|自然毒のプロファイル|厚生労働省
森の中でこの赤いキノコを見たらなるべく近寄らない方がいい。他のキノコは食べるまでは無害だが、このカエンタケは触れただけでも牙をむく。世界でもカエンタケ以上の毒性を持つキノコは見つかっておらず、圧倒的な毒性から”殺人キノコ”の異名を持つ。
カエンタケの有毒成分はトリコテセン類、サトラトキシンHおよびそのエステル類の計6種類が見つかっている。どれも聞いたことが無いような毒性分だが、毒性は非常に高い物質だ。致死量はわずか3g。
症状は嘔吐、腹痛、下痢などの消化器系症状に次いでめまい、手足のしびれ、40度以上の発熱、肝不全、腎不全、循環器不全、呼吸困難、小脳萎縮、呼吸器不全、運動障害、言語障害、脳障害、粘膜の糜爛(びらん)、白血球と血小板の減少、造血機能障害など、次々と症状が現われ死に至る。要するに全身に症状が出る。
運よく回復出来たとしても、言語障害や運動障害、脱毛などの後遺症が残ってしまう。
これだけ凶悪な毒性分を持っているにも関わらず、見るからに危険な見た目をしているので国内での死亡例は2件しかない。こんな毒々しいキノコを食べようと思う勇者はそうそういないということだ。
このキノコを山で見つけた時は触らずに管轄の施設に連絡しよう。
引用元:カエンタケ|自然毒のプロファイル|厚生労働省
ちなみに二枚目の写真はベニナギナタタケという名前の食べられるキノコだ。これと間違えて大量に食べてしまえば助かる見込みは限りなく0に近づく。
2位 ドクササコ
引用元:自然毒のリスクプロファイル、ドクササコ|厚生労働省
ドクササコは大きさ、形はしいたけ、色はシメジのようなきのこ。笹の下に生えてくることから笹の子ということで笹子という名前がついた。一見食べられそうに見えるが、とてつもない猛毒を持っている。
毒はクリチジン、アクロメリン酸、クリチジル酸が主成分だ。ドクササコを食べてしまうと体の末端部(指先や陰部)に酷いただれ、炎症、水泡ができ、重篤な場合壊死を起こす。他の毒キノコと異なり内臓に障害を起こさないという特徴がある。
内臓に障害を起こさないということでとても慈悲深い毒キノコかと思ったら大間違い。
地獄の苦しみが待っている・・・。
末端部に起こる炎症は激しい痛みを伴い、モルヒネなどがんの痛みに使われる鎮痛剤でも全く効かない。この痛みが約1カ月ほど持続する。
痛みから逃れようと自殺したり、手足を切り落とす人までいる。死亡例として多いのは痛みを少しでも和らげようと冷水に手足をつけて過ごし、皮膚が水を吸いふやけて破れ、そこから感染症になる場合や、痛みで眠れずに衰弱死する場合が多い。普通の痛みではこのようになるまで冷水につけたりしない。この話からもドクササコの毒の痛みの強さが分かる。
殺さずに痛みを与え続けるドクササコはとてもサディスティックな毒キノコだ。
1位 ドクツルタケ
引用元:ヘビーな山歩き|スミレヘブンを求めて
別名『テッポウタケ』や『殺しの天使』とも呼ばれるこのドクツルタケは、”日本に自生している毒キノコの中で最も死亡例が多い”とされている。傘の大きさは10~15cmほどで、日本中の山に生えている。見た目も白くて美しく、味はとても美味しいので食用キノコと間違って食べてしまう人が後を絶たない。
毒の主成分は上位の毒キノコ御用達の”アマニチン”だ。ドクツルタケのアマニチン含有量は群を抜いており、1本食べただけで死に至る。胃洗浄を緊急に行わないと死亡する。もし、助かったとしても肝臓に重い障害を残し、苦しい生活を一生強いられることになる・・・。
まとめ
上位3種類ドクツルタケ、タマゴテングダケ、シロタマゴテングタケは『猛毒キノコ御三家』と呼ばれるほどの猛毒を持っている。この御三家に何人の人がやられたのだろうか・・・。
今回ランキングを作る中で、毒キノコの毒は肝臓、腎臓の破壊が重篤な症状に多いことが分かった。
腎臓、肝臓と言えば、人間の臓器の中で重要な役割を担っている。腎臓は血液をきれいにし、肝臓は色々な物質を代謝する。この二つの機能が無くなれば人間は簡単に死にいたる。
毒キノコはこの二つの臓器を狙って破壊している。確実に人を仕留める様は植物界の”ゴ○ゴ13”と呼ぶにふさわしい。こいつに狙われない条件は本家と違い意外と簡単だ。
- 知識なしにキノコ採集をしない。
- 見分けられるなど自信過剰にならない。
- 安易に食べない。
この三つが守れれば長生きできる。