人の手で狙って打つ武器の中で、群を抜いて遠くの標的を打つことができるのがライフルだ。射程距離が長いものでは3km先の物も狙うことができる。しかも、弾丸の速度は音速を超えているため、音が聞こえる前に当たっているということになってしまう。これは何もゴルゴ13などの漫画の世界だけの話ではなく、現実におこっている現象なのだ。
その後も、銃の精度・威力を上げ、肉眼では見えない距離の物も狙えるようになった。これは銃が進化しただけではない。銃弾も進化しているのだ。
今回はそんなライフル用の銃弾たちを速さの順に並べてみた。
基本的に高速の物体は単位がm/sで語られることが多いが、今回は身近なものと比較しやすいようにkm/h(時速)で表した。
【参考】ジャンボジェット=998km/h、F1最速記録=372.6km/h
11位 九九式普通実包 2635.2km/h
元日本陸軍が日中戦争・太平洋戦争時に使用していたライフル用の銃弾。99式小銃に装てんして使われていた。口径は7.7mm。戦時中に作られたものなので現在の銃弾と比較すると性能はかなり劣る。
しかし、戦後に日本軍が使用していた九九式普通実包が欧米で出回ったことにより、いまだにこの銃弾を愛用しているハンターも存在している。
5位 M43(7.62x39mm実包) 2556km/h
1942年に今は無きソビエト連邦で開発され、今も現役で使用されている銃弾。
世界で一番使われている銃と呼ばれているAK47もこの銃弾を使用するために開発されたライフルだ。そのため、この銃弾も世界で一番使われており、軍用から猟まで幅広い用途で使用されている。AK47は非常に安価で手に入り、紛争地帯などでは日本円で5000円程度で買うことができる。そのため、テロリストに愛用されているようだ。
4位 7.62x51mm NATO弾 2988km/h
アメリカが開発した7.62mm弾。1950年代に北大西洋条約機構(NATO)により標準化された銃弾だ。これは、多国籍軍などを構成する場合、銃弾を統一した方が物資の補給がスムーズになるためである。
アサルトライフルなどの弾薬はより小さい銃弾にとって代わられてしまったが、狙撃銃などの弾薬として現在も使用されている。あらゆる銃弾の中で対人用の銃弾としては一番性能が高いと評価されている銃弾だ。
実はケネディー大統領暗殺に使用されたのもこの銃弾ではないかとする説もある。
3位 5.45mm×39弾 3168km/h
1974年にソ連で開発された銃弾。西欧諸国のNATO弾に対抗して開発されたという経緯がある。
4位のNATO弾と比較して小口径であるため、初速は早く貫通力が高い。貫通力が高過ぎると人体などの柔らかい物に対して運動エネルギーをほとんど与えずに貫通してしまうためダメージが少ない。この特徴を無くすために銃弾の重心をずらすことで着弾後に不規則に軌道がずれるように改良されている。そのため貫通力も高く、ダメージも大きいので治療が困難な傷ができてしまう。明らかに人を傷つけることに特化した銃弾だ。
2位 G11用4.73mm×33弾 3348km/h
1986年にG11で使用するためにドイツで開発された銃弾。この銃弾の最大の特徴は火薬が入っている薬莢が無いことだ。薬莢の代わりに硬く圧縮した火薬が後部に取り付けられている。普通の銃弾を見れば分かるが、銃弾の大部分は薬莢が占めている。これが無い4.73mm×33は非常に軽く、より多くの銃弾を携行できるようになる。しかし、暴発しやすいなどの欠陥が見つかり少量しか生産されていないので非常に高価。50発入りで5万円ほど。
この銃弾を放つG11というアサルトライフルは、連射性能が非常に高くバースト射撃での発射速度は2,000発/分。
1位 SS109 5.56mm×45弾 3456km/h
4位の7.62x51mm NATO弾の連射時のブレがひどいということで、ブレを軽減するために開発された銃弾。そのため口径を2mm近く落としたSS109が開発された。
この銃弾は軽量で貫通力が高いためダメージを与えにくいと考えられていた。しかし、初速が820m/s=2952km/h以上の速度では人体内で割れて断片化し、広範囲を傷つけることができる。そのため、市街地などの近距離戦で威力を発揮する。(※これは貫通してしまうとさらなる被害者を出してしまうが、断片して体内に残ればターゲット以外が安全なためである。)
日本国内でもクレー射撃で一番多く使用されている。