『秘境』という言葉に何とも言えない魅力を感じることは無いだろうか。
日本は島国であるため、国土が狭い。そのため、国土は全て探索されていて、秘境と呼べる場所なんて存在しない。
こんな考えを持っていたが、勘違いだと分かった。日本にも秘境は存在する。
秘境と言われて思い浮かぶのは海外のものばかりというそこの君はこのランキングを見て実際に見に行ってみよう。
10位 青木ヶ原樹海
富士山の麓にある青木ヶ原樹海といえば、日本で一番有名な秘境だろう。
いまだに人間の手が入っていない原生林が数多く残る、広大な敷地の森林だ。面積は35km2。35km2というと、そこまで広くはないが、この場所には怖い話が数多くある。
- 磁石が狂う
- 外界と隔絶された集落が存在する
など、挙げればきりがない。
だが、これらの噂はほとんどが現実には無いことが証明されている。
だからといって、青木ヶ原樹海が危険であることには変わりない。
樹海ができたのは約1200年前の平安時代以降のこと。864年に富士山が大規模な噴火をおこし、その時に流れ出た溶岩の上に青木ヶ原樹海はできた。このような出来方をしたため、樹海の地面は岩の上に落ち葉が堆積してできた土が乗っているような状態になっている。
そのため、地下には洞窟がいくつも存在し、落ちてしまう危険もある。
自然探検ができるネイチャーツアーがあったり、キャンプ場が近くにあるなどの点から秘境度はそこまで高くないと判断した。
9位 日本キャニオン 青森県
アメリカにあるグランドキャニオンと言えばとてつもない広さの渓谷だ。
グランド・キャニオンは、7000万年前に隆起したコロラド高原に、その後雨水から流れ出たコロラド川によって4000万年かけて浸食されてきた、巨大な渓谷です。500万年前にはほぼその全容を現し、現在みられるような渓谷になったのは200年前だと言われています。
引用元:ARIZONA WORLD
深さは最も深いところで1800m、幅最も広いところで29km、長さは446kmもある。こんな広大な景色は大陸でしかお目にかかることはできない。日本にこれだけ雄大な渓谷ができるような広い場所があるのだろうか?
日本キャニオンというアメリカ大陸に対するコンプレックス丸出しで、一度聞いたら忘れられないようなインパクトのある名前なのに誰からも聞いたことがない。
日本キャニオンは青森県の津軽国定公園内にある。白神山地の一部である。JR五能線の十二湖駅の近辺から内陸に向かうと入口に到着する。入口から15分ほど歩くと日本キャニオンの展望所につく。その展望所からの景色を見ると対面の山が崩れて白い岩がかなり広い範囲でむき出しになっている。広い範囲と言ってもそれは日本の規模での話。グランドキャニオンと比べるとゾウとアリくらいの差がある。白い岩が得ている部分はせいぜい縦横に200mほど。グランドキャニオンの数万分の1という小ささだ・・・。
日本キャニオンの上からの眺めを見てみようと近くに行ったが、白く脆い岩というより固まった砂が全面にあるのですぐに崩れそうだ。近くにいるだけで崩れてきて埋まってしまいそうなのに登るのは無謀すぎる。最終的に対岸にある展望台からの眺めを見るだけになった。
引用元:日本キャニオン|huben
ここまでは日本キャニオンのことを少し批判するようなことを書いたが、それは日本キャニオンという大げさな名前のせいだ。期待が大きい分がっかりした感は否めないが、白神山地の一部ということもありとてもきれいな景色を見ることができる。
近くには十二湖もあり自然を満喫できることは折り紙付きだ。この辺を旅する際に日本キャニオンのことを思い出したら寄ってみるといいかもしれない。
8位 軍艦島
軍艦島は言わずと知れた秘境だ。軍艦島という名前が有名すぎて本当の名前があることすら知らない人が多そうなので一応。ここは『端島』が正式名称だ。
軍艦島は2015年7月に世界文化遺産に登録された。以前は石炭の採掘が盛んで、最盛期には5000人もの人々が住んでいた。島の面積は0.0768km2。人口密度は5000人/0.0768km2=65000人/km2!!!ちなみに現在の東京が6200人ほど。当時の軍艦島の人口密度はギネスブックに載っている。(現在も破られていない。)
今は石炭の需要が減り、全て廃坑しているのでだれも住んでいない廃墟になっている。しかも、小さな島ということもあり、潮風や波しぶきが直接建物に当たるため風化が早い。そのため、現在は島の一部分しか上陸できないようになっている。しかも、予約制のツアーを使わないと上陸することができないため要注意だ。
Googleと長崎市が共同してストリートビューを見られるようにしているのでこれを使って探検している気分を味わうのもいいかもしれない。
だが、やはり、実際に行ってみるのとネット上で見るのでは迫力が違う。これだけ大きな建物が自然のまま、崩れるままになっているのは日本でここだけだろう。
7位 黒部川源流
黒部ダムで有名な黒部川。関西電力の発電用に建設されたダムで、545mもの落差を使って放水、発電する。
黒部ダムの周りは景色が良く観光地化されていて、オフィシャルサイトもある。
ただ、それはダム周辺だけのことであり、黒部ダムが建設された黒部川の上流は未だに人を寄せ付けない秘境のままだ。
黒部川の始まりである黒部川源流に行くには様々な難所を越えなければならない。
『引用元:2MONKEYS.JP』
もちろん命の危険もあるので簡単な気持ちでは行かない方がいいだろう。
6位 小河内鉄道廃線跡
なんと、探せば東京にも秘境が存在していた。奥多摩に位置する小河内貯水池(おごうちちょすいち)は多摩川の上流をせき止めているダム湖だ。周りが観光地化されていて、東京からアクセスの良いオアシスとして親しまれている。だが、人が多く訪れる場所から離れればすぐに秘境体験をすることができる。
東京に住んでいる人たちには当然のことだが、一口に東京といっても山間部に位置する西部は自然豊かで大都会とはほど遠い。奥多摩と奥秩父の山から流れてきた水が小河内貯水池の原水になる。この二つの産地は天然林が70%以上もある太古の昔から姿を変えていない森だ。
ここにダムを建設するときに作られた『小河内鉄道』がある。東京都水道局がダムを建設するためだけに作ったものだ。建設が終わった現在は全く使われていない。その廃線跡は取り壊されることなく今現在も残っている。遊歩道と平行にレールがあり、少し探せば見つかるはずだ。
また、奥多摩湖にはロープウェイがあった。奥多摩湖の両岸を結んで作られたが、直後に車が通れる橋が作られたのでわずか4年で廃業になった。しかも、オーナーが夜逃げしたので取り壊されることなく今も残っている。しかも、車両まで残っている。全国に廃ロープウェイは数あれど、車両まで残っているとても珍しい場所だ。現在も夜逃げしたオーナーに所有権があり誰も手を出せないので仕方ないのかもしれない。
引用元:奥多摩湖ロープウェイ|廃墟系
とても風情のある風景なので奥多摩を訪れる機会があれば一度は見ておいた方がいいスポットだ。
5位 旧東青山駅
旧東青山駅は三重県津市にある、今は使われていない駅だ。この駅が使われなくなった理由はある事故だ。1971年10月25日に列車同士が正面衝突する事故があった。死者25名、負傷者227名にも上る大惨事となった。
事故原因は人為的ミスもあるが、まだ当時この線路が単線だったことも原因の一つであったので事故後すぐに複線が建設された。そのためこの液は使われなくなったのだ。
当時使われていたトンネルもまだ残っており、今は心霊スポットとして有名だ。事故後すぐに使用されなくなり、その後誰の手も入っていないことから崩れる危険性があり危険だ。
引用元:近鉄大阪線 旧線【旧東青山駅~西青山駅】| 村雨哀歌-MurasameElegy-
何と言ってもこの駅の一番の見どころは”プラットホーム”だ。
引用元:近鉄大阪線旧東青山駅
夏に行くと雑草が一面に生えており、草むらの中にプラットホームが浮かんでいるという不思議な光景を見ることができる。文明が滅ぶとすぐに自然に飲み込まれるというが、実際にその様子を見ることができる。
このスポットで人気の撮影方法がある。雑草が生い茂っている時期にスーツ姿でプラットホームに立って電車を待っているように撮影するのだ。何とも言えない不思議な写真になるので興味がある人は行ってみよう。
4位 影待駅(かげまち) 宮崎県
1972年に国鉄として開通した高千穂鉄道。2005年の大型台風の被害により運航休止となりそのまま廃線になってしまった。そのため、現在は人の手が加わっていない状態で放置されている。人工物を放置すると驚異的なスピードで自然に飲み込まれていく。その過程を見せてくれるのが廃線になった高千穂鉄道の駅の一つ影待駅だ。
引用元:思い出に残る秘境駅
市街地の駅や線路は廃線に伴い撤去が進んだが、この駅は別だ。車で近づくことができないほど山奥の断崖絶壁に作られており、撤去作業が進まず廃線後ほとんど手つかずのままで残されているのだ。数年前までは人や乗り物行き来する場所だったのに、現在はその姿をがらりと変えている。レールは完全に植物に覆われ、駅にたどり着くまでの道のりも”ナタ”が必要なくらい藪に覆われている。
まだ電車が通っていた時期でも一日の乗降者数は13人ほどだった。(2003年のデータ)
ここまで紹介しておいてこういうのもおかしい話だが、安易な気持ちでこの駅を見に行こうなどとは思わないことだ。道は完全に植物に覆われ、途中、危険な場所も通らなければならない。もし行く場合は自己責任で。たどり着いた時は駅の待合室?待合小屋?に影待通信と駅ノートが備え付けてあるので見てみるのも面白いだろう。※このノートは善意により設置されているので大事に扱おう。
3位 川原毛地獄
川原毛地獄は秋田県湯沢市にある温泉地だ。この温泉地にある『川原毛大湯滝』は日本でも珍しい、温泉が流れている滝だ。お湯の温度の関係上入ることができる期間は7月~9月と短い。この期間に行くことができれば、世にも珍しい温かい滝を満喫することができる。この大湯滝は駐車場から徒歩15分ほどで到着できる距離にあり、数多くの人が訪れるので秘境とは程遠い。
引用元:川原毛地獄|湯沢市HP
秘境と呼べるのはこの滝の近くにある『泥湯温泉』だ。ここは、温泉地としてはかなり小規模で宿は3軒だけしかない。テレビの旅行特集などでは秘湯として紹介される。温泉の泉質もよく隠れた名湯だ。
しかし、このような看板が至る所に立てられている。猛毒の『硫化水素』が噴出している場所が数多くあるのだ。このような看板が立てられるようになったのはある事故が原因だ。
湯沢市の泥湯温泉で05年12月29日午後5時ごろ、東京都豊島区から泊まりに来ていた東大大学院助手(47)と妻(42)、長男(8)、次男(6)の一家4人が旅館の駐車場近くで相次いで倒れ、病院で死亡した。死因はいずれも硫化水素ガスを吸ったことによる急性硫化物中毒。
引用元:泥湯温泉ガス事故|コトバンク
現在は湯沢市が調査をして硫化水素濃度が高い場所が分かっているのでかなり安全に旅行できるようだ。それでも、看板が設置してある場所は注意を怠ってはいけない。特に、穴が開いて周囲より低くなっている場所は空気よりも重い硫化水素がたまっている可能性があるので近づいてはいけない。
2位 国道157号線
これが国道か?酷道の間違いじゃないのか?との声が数多くみられるのがこの国道157号線だ。石川県と岐阜県を最短距離で結ぶ道だ。別名『日本版デスロード』とも呼ばれている。しかし、冬期の閉鎖期間が長いことや『落ちたら死ぬ区間』など本物のスリルを味わうことができる。
ここまでストレートな看板もなかなか無い。短い言葉でしっかりと伝わる。実際にこの辺りでは転落事故が多発しており、犠牲者の数も少なくない。途中は車がすれ違うことも困難な場所があり、数百mバックで下がらないといけないということも起こり得るので運転に自信が無い人は絶対に行かないこと。普通の道路でのバックなら誰でもできるが、ミスしたら死んでしまう道でのバックはスリル満点だろう。
2017年現在、姿を消しつつあり相当な田舎でしか見ることができない『洗い越し』も見どころの一つだ。洗い越しは川を作らずに、道路の上を水が流れているものだ。ここを車で通ると気持ちいくらいに水しぶきが上がる。
生活の為にこの道路を使っている人もいるので、冷やかし半分では行かない方がいい。
あなたは命をかけてバック出来ますか?
1位 耶馬渓/鎖場
耶馬渓は大分県中津市にある渓谷だ。秋になると紅葉が美しく、川で取れるヤマメやイワナが絶品だ。
この耶馬渓には知られざる秘境が存在している。それは『競秀峰』という山だ。この秘境は『鎖場』と呼ばれる難所があり、昔は修験道として使われていた。その名残として道の途中に地蔵があるのだが、誰も手入れをしに来ていないせいか汚れたり、首がとれていたりと酷い状態だ。
引用元:耶馬渓サイクリング|西風Ⅱ
なぜ誰も手入れしに来ないのかは行ってみると分かるはずだ。一番頂上まで登るときに通る道は切り立った崖が数十cm削られた道?に鎖が固定されているだけだ。しかもこの道があるのは崖の中腹で下までゆうに20~30mはある。最大の難所は『馬の背』と呼ばれている場所だ。ここは山のほぼ頂上に位置しており、平均台を歩いていくような場所だ。足を踏み外せばもちろん命はない。ここを渡り終えると見晴らしがいい場所に地蔵が一体おかれているだけだ。だが、命がけで登った後に見る絶景は何物にも代えがたい。
この山にはもう一つ名所がある。『羅漢寺』という寺で、絶壁をくりぬいたようにして建てられている。
本当に断崖絶壁にあるので他のお寺には無い荘厳さを感じることができる。ここはぜひ自分の目で見て欲しい。階段が整備されているルートもあるのでそちらから行けば簡単に見ることができる。※鎖場を通るルートは本当に命の保証はないので行くなら自己責任で。
まとめ
日本にも秘境は存在していた。
都会に飽きたらこんなところに遊びに行くのもいいものだ。