人類は太古の昔から不老不死に憧れ、様々な実験を行ってきた。
特に有名なのが、秦の始皇帝だ。彼は不老不死に憧れるあまり、ある物質を定期的に取り続けた結果早死にしてしまった。
人間が長年研究を続けても実現できていない不老不死の能力を生まれながらにして持っている生物たちもいる。今回はそんな羨ましい能力を持った生物を紹介しよう。
ロブスター
ロブスターといえば最高級フランス料理に出てくるオマールロブスターを想像してしまう。食べたい。ロブスターといえば食材というのが浸透しているが、実はロブスターは不思議な能力を持っている生き物だったのだ。
甲殻類であるロブスターは成長するときに外骨格を外さないと大きくなることが出来ない。要するに脱皮だ。他の甲殻類は脱皮の時は外骨格だけだが、ロブスターは内臓まで綺麗に新しいものに変わるのだ。
理論的にいえば、脱皮を繰り返せば老いることがないということになる。しかし、普通に脱皮をするだけでも天敵から襲われる可能性が高いのに、内臓まで取り替えているので脱皮中に襲われるロブスターが非常に多い。
自然死はしない不老不死でも天敵に襲われやすかったら何の意味もない。
クマムシ
驚異の耐久性が判明し話題になったクマムシ先生。大きさは50μm~1.7mmと様々であり、深海から高山、極地まで幅広い場所に生息している。
クマムシは普通の状態のときは不老不死ではないが、ある状態になると不老不死に近い状態になる。ある状態とは『乾眠状態』のこと。この状態の時のクマムシはー273℃~151℃、では、10000グレイ(Gy)の放射線(※人間は4Gyを浴びると半数の人が死亡する。)、真空~75,000気圧などなど色々な過酷な条件に耐えることが出来る。
乾眠状態とは、代謝をほぼ0にし、半分死んだような状態のことだ。乾眠状態では食べることも排泄する事も呼吸することもしなくなる。この状態をずっと続ければ永遠に生き続けることが出来る。
ダイオウグソクムシ
ダイオウグソクムシはキュート?な見た目で女子からの人気が高い生き物だ。ぬいぐるみやキーホルダーにもなっているほどだ。こういった意味で有名だったダイオウグソクムシだが、近年ある事実が確認された。
三重県の鳥羽水族館で2007年から飼育されていたダイオウグソクムシが、2014年に死ぬまでの5年間まったく餌を食べなかった。そのため、死亡した当初は死因は餓死であると考えられていたが違ったようだ。死後解剖してみると胃の中に茶色のどろどろの液体が詰まっていたという。これが何かは解明されておらず、不老不死の研究に役立つ可能性が高いそうだ。
さらに、このダイオウグソクムシは5年間何も食べていないにもかかわらず、体重に全く変化がなかったそうだ。
ヒドラ
引用元:ネイチャーアクアリウム的生活
ヒドラはクラゲやイソギンチャクなどと同じ『刺胞動物』という種類に属する。主に淡水に生息しており、植物とも動物ともとれる不思議な姿が多くの人々を魅了してきた。
実はこのヒドラ、100年ほど前から不老不死説が唱えられており、最近やっとその姿が観察されたのだ。
アメリカのマーチンズ博士はヒドラを1匹ずつ容器に入れて飼育し、継続して観察した。ヒドラは無性生殖(交尾しなくても子孫が増える)するので新しく増えたヒドラは全て手作業で取り除かなければいけなかった。この観察を4年間続けても死ぬ個体がいなかった。
基本的に小さな生物ほど寿命が短いはずなのだが、これだけ小さなヒドラが4年間生き続けていたということから不老不死説が濃厚になった。
現在の仮設ではヒドラの中で増殖し続ける幹細胞と、幹細胞で働く特定の遺伝子により不老不死になっているということだ。
プラナリア
プラナリアは日本の川にも生息しているナメクジのような生物だ。このチャーミングな目をした生き物は非常に高い『再生能力』を持っている。
プラナリアはどんなに切断されても必ず完璧に再生するのだ。
横に切ればこのように2匹に分裂するし、10回切断すれば10匹に分裂する。この原理を人間の臓器に応用するために名古屋大学が研究を行っている。
飼育キットも販売されているので実際に再生能力を見てもらった方が早いかもしれない。
ベニクラゲ
ベニクラゲは成長しても1cmほどの大きさしかないクラゲだ。世界中の温帯から熱帯の海に生息しており、日本沿岸でも見ることが出来る。
名前の由来は透明な体の中心に透けて見える消化器官が紅色だからだ。
クラゲは寿命を迎えると活動を停止し、海水に溶けて死んでしまう。しかしこのベニクラゲは寿命を迎えると、海底の岩などに付着し『ポリプ』という状態になる。ポリプとはクラゲの幼生のことで、要するにベニクラゲは寿命を迎えると子供に戻るのだ!
このサイクルを繰り返すことでベニクラゲは一生死亡することがない。しかし、これは寿命をまっとう出来た場合だけで、天敵に食べられた場合などは普通に死んでしまう。
まとめ
不老不死は映画などでは決まって不幸な最期を遂げることが多い。本当にそうなのだろうか?
ずっと10代の若々しさと、活発さを保って生きられるなら楽しそうだと思うのは私だけだろうか。
幸せか不幸か、一度不老不死になってみないと分からないのかもしれない。