世界で1番熱い場所はどこか。今回は過去記録された最高気温でランキングを作成した。
ちなみに、日本の観測史上最高気温は埼玉県熊谷市、静岡県浜松市の41.1℃。
気温の測定方法にはいくつかの方法があるが、正式に記録として認められるのは空気の温度を測定する方法である。地表から1.5mの直射日光が当たらない場所で測定した空気の温度が正式な気温として認められる。地表温度や人工衛星からの測定は実際の気温よりも高い温度が出る傾向がある。
例)地表温度の最高気温93.9℃アメリカ/ファーニス・クリーク
10位 ジッダ
最高気温:52.0℃
国:サウジアラビア/マッカ州
観測日:2010年6月23日
中東有数の大都市で、サウジアラビアの中では2番目に人口が多い都市である。
紀元前500年頃からこの場所には小さな漁村があった。紀元650年頃にイスラム教の聖地であるメッカ巡礼の中継地として整備され大きく発展した。
さらに、サウジアラビアと言えば石油の産出国であり、ジッダも例外ではなくオイルマネーにより高層ビルが乱立し、さらなる発展を遂げた。ビルが建っていない場所には昔ながらのモスクが残っており、近未来的な建物とのコントラストを楽しむことができる。
ジッダの気候は1年を通してほとんど変化が無く、気温は18℃~40℃の間に収まる。また、年間で10日間ほどしか雨は降らない非常に乾燥した気候である。
それでも、最高気温が41℃を超えることは滅多になく、最高気温が記録された日の異常さが分かる。
10位 メヒカリ
最高気温:52.0℃
国:メキシコ/バハ・カリフォルニア州
観測日:1995年7月28日
メヒカリはアメリカ=メキシコ国境沿いにあり、カリフォルニア州と接している。Mexicaliはメキシコ(Mexico)とカリフォルニア(California)を合わせて作られた地名。アメリカ側にもカレクシコ(Calexico)という町がある。
国境近くの町ということもあり、日本では見ることができないほど大きなトレーラーや貨物列車を数多く見ることができる。
メヒカリがある場所はもともとは砂漠であり、1800年代までは定住者はほぼ0であった。そのため、メキシコの中でも北にあるにもかかわらず気温が非常に高い。
これだけ気温が上昇するのは、標高が低いこと、夏季と雨季が別の時期であることが原因である。
8位 アルジャジーラ
最高気温:52.1℃
国:アラブ首長国連邦/シャルジャ首長国
観測日:2002年7月
シャルジャ首長国アラブ首長国連邦を構成する国の1つ。
ドバイの近くにあり、最近ではドバイのベッドタウンとして栄えていて、数多くの高層ビルが建設されている。もちろん例にもれずお金持ちが多い国で、国民の平均世帯年収が2000万円を超える。
5月~9月が夏期であり、平均最高気温は37℃以上になる。最も暑いのは8月であり、最高気温は40℃、最低気温でさえも30℃を超える日が多い。
もっとも過ごしやすい季節は12月~3月で、それでも最高気温が30℃近くになることもある。
7位 トゥルバット
最高気温:53.7℃
国:パキスタン/バローチスターン州
観測日:2010年5月26日・2017年5月28日
トゥルバットはパキスタンのバローチスターン州南部にある都市であり、ケチ地区の行政の中心地である。ケチ川が近くを流れており、昔から物流の拠点であった。
バローチスターン州の平野部は猛暑で有名で、毎年のように最高気温が50℃を超える。その中でもトゥルバットは飛びぬけて暑く、南アジアで1番暑い都市として有名である。毎年猛暑により多数の死者が出る。特に2015年には1000人以上が熱中症により死亡している。
これだけの死者が出てしまう要因は、宗教的行事のラマダーン(イスラム教徒が行う断食。1ヶ月間昼間の飲食が禁止される)により、水分を摂取できないことが大きい。ただ、ラマダーンが無かったとしても気温が50℃を超えれば死亡する可能性もある。
また、同じ時期にトゥルバットから数百km離れているモヘンジョ=ダロ遺跡でも同じ気温が記録されている。
6位 バスラ地区
最高気温:53.8℃
国:イラク/バスラ県
観測日:2016年7月22日
イラク南東にあるイラクで2番目に大きな都市である。シャットゥルアラブ川の右岸に位置し、石油パイプラインの終点がある。この場所から石油が海外に輸出される港湾都市である。1日に200万バレル以上の石油を輸出できる。
200万バレル=2億ドル=300億円(1ドル150円で計算)
砂漠気候で平均気温が高いが、海に面していることもあり内陸よりも過ごしやすい。
過ごしやすいと言っても気温が高いことには変わりなく、1921年には世界一の最高気温58.8℃を記録した。だが、このデータの信ぴょう性が疑われており、現在では2020年の53.8℃が公式な記録とされている。
5位 ミトリーバ
最高気温:53.9℃
国:クウェート/ジャハラー県
観測日:2016年7月21日
クウェートも例にもれず石油の産出国であり、国民の大半は石油関連の国家公務員として働いている。失業率は1%程度ともの凄い水準の国だ。
ミトリーバはクウェート国の首都クウェートから北西に60㎞の場所に位置する。ミトリーバには気象観測所があり、最高気温はここで観測された。そのため、他のデータよりも信ぴょう性が高く、この記録を世界一にしようとする動きもある。
この気温が記録された日には周辺の国でも50℃を超える気温が記録された。
3位 アフワーズ
最高気温:54.0℃
国:イラン/フーゼスターン州
観測日:2017年6月29日
アフワーズ周辺には多数の油田が存在し、イラン有数の工業地帯となっている。石油の採掘作業やそれに伴う作業が原因で2011年には「世界で最も汚染された都市」に選ばれている。
気候は砂漠気候に分類され、長くて暑い夏と短くて暖かい冬がある。アフワーズの夏は世界でも非常に暑く、最高気温の平均は45℃、特に暑い日は50℃を超える。
アフワーズで記録された最高気温54℃は6月における世界最高記録となっている。この最高気温はアフワーズ空港(OIAW)にて観測されたため、信頼性が高い記録となっている。
3位 ティラートツヴィ
最高気温:54.0℃
国:イスラエル/北部地区
観測日:1942年6月21日
ティラートツヴィはツヴィの砦を意味している。ヨルダン川西岸のベト・シュアン渓谷の中に存在し、イエスが洗礼を受けたとされる宗教的施設がある。
イスラエルとヨルダンは現在戦闘状態が続き、ヨルダン川周辺でも毎日のように死者が出ている。
ティラートツヴィは砂漠気候に分類され、夏の気温が非常に高い。54℃という最高気温はアジアの日中で最も高い記録である。
ちなみに、観測当時の1942年はイギリス委任統治領パレスチナであった。
2位 ケビリ
最高気温:55℃
国:チュニジア/ケビリ県
観測日:1931年7月7日
ケビリはチュニジアの南部にある都市。サハラ砂漠の範囲内にあるため、夏は非常に暑く、冬の夜は氷点下まで冷え込む。非常に住みにくい土地である。
ケビリ県の北西部にはジェリド湖と呼ばれる巨大な塩湖がある。湖という名前はついているがほとんど水は無く、潮が堆積した白い平原が広がっている。この様子を見るために観光客が多数訪れている。
1位の場所には人が定住していないので、人が住んでいる場所の中で1番高い気温を記録した場所である。ちなみに最高気温が観測された当時はフランス保護領チュニジアであった。
1位 デスバレー
最高気温:56.7℃
国:アメリカ/カリフォルニア州
観測日:1913年7月10日
第1位はアフリカや中東ではなく、アメリカのデスバレーだ。ムービングストーンやバッドウォーターなどで有名な場所だ。
ムービングストーンは石が勝手に動く現象で、長年世界の七不思議に挙げられていた。だが、2014年に原因が解明された。冬に薄く張った氷が風で滑り、同時に石も動くことが原因。
ちなみに、この最高気温の記録は当時発生していた砂嵐による影響が少なからずあると考えられている。直射日光により高温になった砂が強風により巻き上げられ、これが計測器に衝突して温度が上昇したとされている。そのため、世界気象機関は1913年のこの記録を公式に認定しいない。
まとめ
今回のランキングで覚えて欲しいのはこの2つ。
世界一暑い場所はアメリカ。
地域は中東。