地球の温暖化が数十年前から温暖化が騒がれているが、世界には考えられないほど寒い場所が存在している。
しかも、いまだに最低気温記録を塗り替えている。
そんな寒い場所をランキング形式でみていこう。
-30℃から鼻毛が凍る感覚が出てくる。耳を出していると1時間もたたずに凍傷になる
ちなみに、日本での最低気温は-41℃(北海道旭川市)
15位 スタンリー
国 :アメリカ(アイダホ州)
観測日 :年月日
アイダホ州にあるスタンリーはアメリカでもトップクラスの寒さを誇る村だ。
アイダホ州にはロッキー山脈があり、土地の大部分が山岳地帯である。そのため、スタンリー周辺には手つかずの自然が残っており、自然遺産が数多く存在している。
一昔前までは過疎化が深刻な問題だったが、現在ではキャンプなどアウトドア愛好家に愛されている。
スタンリーは標高1900mの場所にあり、現在の人口は70人程度とされている。
ロッキー山脈から吹き下ろす寒気の影響を強く受けるため、冬の気温がこれだけ低くなる。
ただ、一年中寒いというわけでもない。
夏には最高気温が30度を超えることもあり、夏は暑く冬は寒いという過酷な環境である。
ちなみに、アイダホ州にあるヘルズキャニオンは深さ2410mもあり、有名なグランドキャニオン(1800m)よりも深い。
また、宝石の州という呼び名があることからもわかる通り、ほぼ全ての種類の宝石を採掘することができる。
14位 ラップランド
国 :スウェーデン
観測日 :1966年2月2日
ラップランド(ラッピ県)はフィンランドの最北端にあり、スウェーデン、ノルウェー、ロシア、バルト海と接する過疎地域。
広大な亜寒帯の荒野、真夜中でも沈まない太陽やオーロラなどの自然現象で有名だ。
県庁所在地のロバニエミは。街並みは北欧風という言葉がピッタリの可愛らしい建物が多い。
流石に雪のイメージが強い国なだけあって、冬には気がほとんど埋まるほど雪が積もる。
フィンランドといえばサンタクロースの居住地としても有名だ。
もちろん野生のトナカイを見ることもできる。
13位 アルタイ地区
国 :モンゴル
観測日 :1976年12月
モンゴル南西部にあるアルタイ地区。
中国・ロシア・モンゴルの三国の国境にまたがる山「フィティン山」がある。
その山から吹き下ろす寒気の影響で気温が低い。
これだけ寒いにも関わらず、遊牧民族であるモンゴル人は、移動式住居ゲルで生活を送っている。
※現在は普通の住居もかなり普及している。
12位 ロジャース・パス
国 :アメリカ(モンタナ州)
観測日 :1954年1月20日
ロジャース・パスはモンタナ州にある山道。アラスカ州を除けばアメリカで一番寒い場所である。最低気温はロジャーズパスに近い金鉱山キャンプで記録された。
モンタナ州ではどこかの地点で低い気温が記録された場合、その近辺では暖かくなる傾向がある。最低気温が記録された日はロジャース・パスから64㎞離れた地点で-2 ℃ までしか気温が下がらなかったと記録されている。
寒さの原因はカナダから下ってくる大陸性寒冷気団であり、急激に気温が下がることが多い。日によっては24時間で50℃近く変化する場合もある。
ちなみに、ロジャース・パスはカナダのコロンビア州にもあるが、こちらも同一人物により開拓されている。
11位 コミ共和国
国 :ロシア
観測日 :1978年12月31日
ウラル山脈の西部、東ヨーロッパ平原の北東部に位置する。
面積は415,900km2と広大で、その70%以上をタイガ(針葉樹林)、約15%を沼地が占めている。
コミ共和国にはヨーロッパ最大の原生林「コミ原生林」があり、絶滅危惧種に指定されているオオヤマネコの他、ヘラジカやユキウサギ、トナカイ、ヒグマなど多数の生物が生息していて、ユネスコの世界遺産に登録されている。
コミの原生林へのアクセスはロシアの首都モスクワから北東に1500km、列車で13時間のペチョラという町を拠点にするのが一般的である。
10位 フォート・セルカーク
国 :カナダ(ユーコン州)
観測日 :年月日
カナダでも屈指の寒さを誇るユーコン準州。
カナダ最高峰のローガン山(標高5,959m)があり、そこから吹き降ろす寒気の影響を強く受ける。
フォート・セルカーク(セルカーク砦)はローガン山の北東にあり、特にこの影響を受けて気温が下がりやすい。
セルカーク砦はユーコン川とペリー川の合流地点にあり、以前は交易場所として栄えていた。
交易が盛んになれば、侵略される可能性も出てくため砦が作られた。
考古学者の説によれば、この場所は8000年近く使われているとされている。
昔の人々はなぜここまで寒い場所で生活していたのだろうか。
現在はハイウェイが整備され、セルカーク砦近辺には先住民が小数住んでいるだけとなっている。
9位 プロスペクトクリーク
国 :アメリカ(アラスカ州)
観測日 :1971年1月23日
プロスペクトクリークはアラスカ州にある集落だ。集落の周りで希少金属が採掘されるため、元々は鉱山の労働者用のキャンプ地だった。
集落の場所自体は亜寒帯気候に属しているが、50㎞程北にあるゲーツ・オブ・ザ・アークティック国立公園(北極圏の扉国立公園)は完全なる北極圏である。この国立公園はブルックス山脈があり、北極圏かつ高い標高からの寒気によりプロスペクトクリークの気温は下がる。
公園の動物相にはヘラジカ、ハイイログマ(グリズリー)、クロクマ、オオカミ、トナカイが含まれる。
ちなみに、この国立公園には1500人ほどの人が、特別な許可を得て自給自足の暮らしを営んでいる。
8位 スナグ
国 :カナダ(ユーコン準州)
観測日 :1947年2月3日
スナグはカナダのユーコン準州にある村。現在は人は住んでいない廃墟となっている。10位のフォートセルカークとスナグは直線距離で100㎞程度しか離れておらず、スナグの方が緯度が低い。
しかし、スナグの方がカナダ最高峰のローガン山に近く、標高が高い場所にある。このため、フォートセルカークよりも寒さが厳しい。
7位 ヤクーツク
国 :ロシア(シベリア(サハ共和国))
観測日 :1885年1月15日
ヤクーツクはロシア連邦に属するサハ共和国の首都。人口は約32万人。
世界一寒い都市とも呼ばれている。
ヤクーツクよりも寒い場所は数多くあるが、30万人以上が住む規模の都市でここより気温が低い場所は無い。
サハ共和国は永久凍土の王国とも呼ばれている。永久凍土の国とは言われているが、夏には地表1.5mほどは溶けて、凍っていない地面が露出する。
凍土にそのまま建物を建てると、地盤沈下が起こってしまう。
そのため、ヤクーツクのビルはコンクリートの杭の上に建築されている。
1632年に建設された要塞を起源とする。北東連邦大学やロシア科学アカデミーの支部がある。
シベリアの強い寒気により冬季には気温が例年-30℃を下回る。
ちなみに、世界最大のダイヤモンド生産地としても有名で、ロシア産のダイヤモンドの99%はサハ共和国産である。
6位 ノースアイス
国 :グリーンランド
観測日 :1931年3月20日
ノース・アイスはイギリスの探検家ジェームズ・シンプソンが建設した研究施設。
建設には2年間(1952~1954)かかっている。
この研究施設は標高2400mの氷の上にあり、非常に寒くなる。
日本の国土の約6倍の広さがあるが、大陸ではなく島という扱いになっている。
ちなみに、大陸の定義は「グリーンランドよりも広い」。
5位 ベルホヤンスク
国 :ロシア(シベリア(サハ共和国))
観測日 :1892年1月15日
首都のヤクーツクよりも寒い記録をたたき出した。
ヤクーツクから北北東へ約680㎞離れており、北極圏の中にある。
ベルホヤンスクはヤクーツクと異なり、「夏場にも永久凍土が溶けることはない」というのが定説だったが、2020年には夏の気温が過去最高の38℃を記録した。
北極圏での最高気温である。
ベルホヤンスクの2010年の人口は1311人。
4位 オイミャコン
『撮影者:Maarten Takens, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons』
国 :ロシア(シベリア(サハ共和国))
観測日 :1933年2月6日
人が定住している場所の中で最も寒い場所として知られている。
ここも例にもれず、政治犯の流刑地として使われていた。
2010年の人口は467人だったが、2018年には800人ほどに増加している。この要因は、オイミャコンの住民が長寿であるためである。これだけ過酷な場所であるにもかかわらず、ソ連時代には平均寿命第2位の町(村)になったこともある。
1月の平均最低気温は-50℃を下回る。
これだけの低温のため、細菌やウイルスが生存できず、寒いにもかかわらず風邪をひくことはほとんどないようだ。
非公式記録ではあるが-71.2℃を記録しているため、ベルホヤンスクより上位にランクイン。
3位 グリーンランド氷床
国 :グリーンランド
観測日 :1991年12月22日(認定2020年9月23日)
グリーンランド氷床の頂上部、高度3,100メートルにある観測所で記録された。その結果、北半球で最も寒い場所と認定された。(2位のデナリは山なので除外されている)
これ以前の北半球で最も寒い場所はシベリア(オイミャコン)であった。
そのため、今回の認定は30年近くもかかってしまった。
2位 デナリ(マッキンリー山)
国 :アメリカ(アラスカ州)
観測日 :不明(1969年以前)
デナリという名称よりも、マッキンリー山の方がなじみ深いかもしれない。
それもそのはず、2015年にオバマ大統領がマッキンリー山からデナリに正式名称の変更を発表したばかりだからだ。
北アメリカ大陸最高峰デナリの標高は6190.4 m。もともとこの山があるアラスカ州自体も非常に気温が低い。
その上にこの標高であれば納得の気温の低さだ。
日本が誇る冒険家・植村直己が眠る山としても有名である。
冬は風速45mを超える風が吹く。
一般的に最大瞬間風速は風速の2倍程度とされているため、瞬間的には90m/秒の風が吹くということだ。
風速による影響はこちらの動画が分かりやすい。
最低気温の-73.3℃が記録されたのは山頂ではなく、中腹の4600m地点。
山頂は冬季には-40℃を下回る日が多いが、以外にも最低気温は-59.4℃。
2014年にはタレントのイモトアヤコが登頂に成功している。
1位 南極大陸ボストーク基地
国 :南極大陸
観測日 :1983年7月21日
現地で気温を観測できた場所の中で、世界一寒い場所である。(2022年現在)
1957年に建設されたロシアの観測基地であり、現在はアメリカ、ロシア、フランスの3国が共同で使用している。
このボストーク基地は南極大陸にある上に、標高が3100mと高い位置にある。
そのため、南極の中でも気温が低くなってしまうのだ。
この場所では平均気温が-65℃、平均最低気温は-70℃を下回る。
この基地はボストーク湖の上に建設されているのだが、この湖は厚さ1㎞以上ある氷で完全に封鎖されている。
ちなみに、南極では低温により空気中の水分がすぐに凍ってしまうため乾燥している上に、酸素濃度が異常に低い。
そのため、一般人が行くとすぐに高山病になってしまう過酷な場所なのだ。
このような過酷な場所でないとできない実験等があるため、南極大陸には様々な国の研究施設・観測所が存在している。
(参考)東南極高原
国 :南極大陸
観測日 :2016年
東南極高原は南極横断山脈の上にあり、平均標高約 3,000mもある。東南極高原の最高点は標高4,093mだが、地盤は少なくとも600mの氷の下にある。
川衛星からの観測で南極大陸内にて2016年に−110.9 °の地表温度が計測された。
だが、この記録は気温ではないため参考記録とした。
気温は大気の温度。衛星で観測されたのは地表の温度。
そのため、実際に観測された気温とは単純に比較することができない。
正式な記録にはなっていないが、理論上気温は-100℃近くになっているとされている。
もちろんこの地域に生物はほとんど存在していない。
生息しているのはバクテリア等の微生物のみ。
こんな過酷な場所をわざわざ選ぶ生物の気が知れない。