原子力爆弾を落とされた唯一の国日本。
北朝鮮の核ミサイル問題や福島原発の問題。
日本には世界的に見ても放射性物質の問題が数多くある。
特に福島原発事故はいまだに解決されていない。福島原発の周辺にはまだ住むことができず、自分の故郷に住めない人も数多くいる。チェルノブイリに至っては事故から30年たった今でも半径30km圏内は許可が無いと立ち入り禁止のままだ。
では、どれくらいの時間がたつと、普通の場所と同じくらいの放射線量に落ち着くのか?
これは放射性物質が出す放射線量によって決まる。放射性物質も永久に放射能を持っているわけではなく、時間がたつと放射線量は下がってくる。現時点の放射線量が半分に減るまでの時間を半減期といい、物質により異なっている。
そこで今回は半減期が長い放射性物質をランキングにしてみた。
10位 トリチウム(3H, T)/41年
引用元:LIGHT MANIA
三重水素(さんじゅうすいそ)』と呼ばれている物質だ。名前の通り、水素の放射性同位体であり、水素が化学反応を起こしてできる。
普通の水素は質量数が1だが、三重水素は3、原子核が陽子1つと中性子2つから構成されている。トリチウムは腕時計の蛍光塗料として使用されており、意外と身近に存在している。
9位 プルトニウム241(241Pu)/47.5年
引用元:Nuclear Energy Agency: Plutonium Fuel, an assessment, OECD. 1989
プルトニウム241はプルトニウム238から239を作る過程で不純物としてできる物質。
自然界にはほとんど存在しておらず、人工的な核反応でもごく微量しかできず、更にすぐに核分裂を起こして別の物質になる。
8位 ストロンチウム90(90Sr)/96年
引用元:仙台厚生病院
ストロンチウム90は普通のストロンチウムよりも中性子が1つ多いため、容易に核分裂を起こす。
プルトニウムやウランが核分裂を起こした際に副生成物としてできる。そのため、原爆が爆発した後に降ると言われている『死の灰』の中にかなりの量含まれている。1954年に起こった『第五福竜丸』の事件で注目されるようになった物質。
また、ストロンチウムが体内でカルシウムに似た動きをすることを利用して、癌の骨転移による痛みを緩和する薬としても用いられている。
7位 セシウム137(137Cs)/100年
あらゆる元素の中で最もモース硬度が低い物質。モース硬度とはあるもので引っかいた時に傷ができやすいかどうかの指標。ちなみに1番高いのはダイヤモンド。
ウランが核分裂した際にできる副生成物の主成分であり、原爆後の『死の灰』や原発事故後の『放射能の雨』の中に含まれている。
また、セシウムの持つ電磁気的な揺れは原子時計として使用されており、世界の自国の基準とされている。この原子時計は140万年に1秒程しかずれないほど正確。以前、うるう年ならぬ『うるう秒』があったのはこのずれを修正するためである。
6位 プルトニウム238(238Pu)/291.5年
プルトニウム238はあまり核分裂を起こさない。そのため、放射性物質としての性質が強いプルトニウム239に返還させてから使用される。
5位 ラジウム226(226Ra)/5312年
引用元:Teleman
1934年に亡くなった有名な物理学者『キュリー夫人』が発見した放射性物質。当時は放射線の危険性が判明しておらず、キュリー夫人はラジウムなどをポケットに入れて持ち歩いていたようだ。
キュリー夫人の研究室に残されていた研究ノートなどは放射線に汚染されており、100年近く経過した現在も同意書にサインした上に、防護服を着ないと閲覧することができない。現在はフランス国立図書館で分厚い鉛の箱に入れて保管されている。
4位 プルトニウム240(240Pu)/21783年
プルトニウム240は多数ある核物質の中でも特に核分裂反応を起こしやすい。核分裂が起こりやすいということは一度に出す放射線の量も多い。
核兵器への利用も試行錯誤されていたが、反応を制御することができないため今は核兵器用の核物質の不純物とみなされている。
3位 プルトニウム239(239Pu)/80000年
引用元:小林理研
プルトニウム239は核分裂反応を起こしやすく、核爆弾の原料として用いられている。16kgのプルトニウムが1か所に集められると、爆発的な反応を起こす『臨界』という現象が起こる。
ウランよりも反応自体は激しく、広島に投下されたウラン型よりも威力が格段に高い。しかし、長崎が盆地であったため、広島より被害が小さくなった。
2位 ウラン235(235U)/23億年
引用元:小林理研
広島に投下された原爆に用いられていた物質。
ウラン型の原子爆弾はプルトニウム型よりも単純な構造でよいため、発展途上国による模倣が懸念されている。
1位 ウラン238(238U)/150億年
鉱山から採掘されるウランの99.3%を占めている。ウラン235に比べると核分裂反応は穏やかに起こるため、原子力発電所や原爆への利用価値が低い。
1度に出す放射線量は少ないが、半減期が150億年と非常に長いので一度ばらまかれてしまうと長い間汚染されることになる。
まとめ
信じられないほどに長い間放射線を出す物質が存在していることが分かった。
しかし、半減期が長い=危険ということではない。ほとんどの物質に共通していることとして、1度に出す放射線量が多いほど半減期自体は短くなる。
どちらかというと、気にしないといけないのは放射線量の方だ。放射線量についてもランキングを作成したので是非見てみよう。
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