季節の山菜は自分で取って食べると買って食べるのの数倍おいしい。しかも、森林浴まで出来るので一石二鳥!
ただ、山菜取りに行く際に気をつけないといけないのは、本物の山菜によく似た毒をもった植物だ。
これらを見分けるには知識と経験が必要であり、素人がむやみに山菜を採って食べると食中毒の危険がある。
そこで今回は人気の山菜の中で間違いやすい毒草があるものを紹介しよう。
5位 イチリンソウ
(引用元:ゆん写真素材集)
イチリンソウはギンポウゲ科の植物で、4~5月に白くて小さい可愛い花を咲かせる。草全体に皮膚・粘膜刺激作用が強い『プロトアネモニン』などの有毒成分を含み、多量に食べると胃や腸が炎症を起こす。そのため、食べて数時間後に吐き気や下痢などの症状が現れる。肌が弱い人は葉や茎の汁が皮膚に付着すると水泡ができる場合もある。
写真を見てもらえば分かるが、葉がヨモギに似ていて間違って食べてしまい、食中毒になる人が多い。
4位 バイケイソウ
芽生えの姿が、山菜のオオバギボウシ(ウルイ)やギョウジャニンニクとよく似ているため、食中毒を起こす事例が毎年春に報告されている。
中毒物質としてベラトラミン・セバジンなどの『ベラトルムアルカロイド』を含んでいる。草全体に含まれているが、特に根や茎に多く含まれる。ベラトルムアルカロイドの致死量は約20mgで、乾燥した根で1~2gほどという猛毒。
症状は血圧低下・徐脈、重症例では不整脈、呼吸困難などが起こる。
3位 スズラン
ギョウジャニンニクと外見が似ていることもあり、誤って摂取し中毒症状を起こす例が見られる。『コンバラトキシン』という強心配糖体を草全体に持つが、特に花や根に多く含まれる。摂取した場合、嘔吐、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至ってしまう。スズランの毒がどれくらい強いかというと、体重60kgの成人の場合たったの18mg前後で死に至ることがあるほど。ちなみに青酸カリ(シアン化カリウム)の致死量は体重60kgなら約264mgなので、青酸カリの約15倍もの毒性があることなる。
スズランを活けた水を飲んでも中毒を起こすことがあり、花瓶にスズランを活けていて、花瓶の水を子供が誤飲して死亡した例もある。
2位 ハシリドコロ
(引用元:Wikiwand)
早春に土から顔を出す新芽はフキノトウと間違えやすく、葉は青々として食べられそうに見えるため誤食されやすい。名前の由来は「山菜と間違えて誤食し、中毒症状が出た場合、走り回る」ためであるとされている。
ハシリドコロは草全体にアトロピンやスコポラミンなどの『ベラドンナアルカロイド』を含んでいる。アトロピンは眼薬に使用されており瞳孔を開く作用がある。そのため、ハシリドコロに触れた手で眼をこすると、瞳孔が開き、眩しくて眼が開けられなくなるという症状も出る。もちろん眼薬に使われるのは非常に薄められたものなので、安心して使用してよい。
致死量はスコポラミンが3~5mg、アトロピンが約100mg。
ハシリドコロ全体でアトロピンは1.58mg、スコポラミンは0.33mg含まれており、口渇、まぶしがり、顔面紅潮、幻覚、意識障害が起こり最悪の場合死亡する。
この毒には解毒薬(ネオスチグミン)が存在しているので、食べてしまっても急いで病院に行けば間に合うかもしれない。
1位 トリカブト
芽吹きの頃にはセリ、ニリンソウ、ゲンノショウコ、ヨモギ等と似ているため、誤食による中毒事故が毎年のように起こる。写真のトリカブトは花を付けているが、花を付けるのは秋ごろなので、誤食が起こる春には見分けづらい。確実に見分けられる人以外はヨモギなどをとって食べない方が得策だ。
トリカブトの有毒成分は『アコニチン』で、根っこに多量に含まれている。食べると嘔吐・呼吸困難、臓器不全などから摂取後数十秒で死に至ることもある。皮膚、粘膜からも吸収されるため、触るのすら危険だ。致死量は1.5~6mgで、トリカブトに換算すると約0.5g食べてしまうと危険ということになる。絶対に食べないように。
まとめ
山菜採りは運動にもなるし、食べておいしい一石二鳥の趣味だが、危険と隣り合わせであることもしっかり自覚しよう。
実は、中毒になった人で一番多いのが、ある程度山菜採りを経験している中級者なのだ。
ちょっと詳しくなった頃に油断して毒草を食べないように常に注意しておこう。