身近にある『水』。水は生物が生きていく上で欠かせない物質だ。水がなければ地球に生物が生まれることは無かった。
そんな水には不思議な性質があることを知っているだろうか?
この不思議な性質がなければ地球は一瞬で死の星になってしまう。
身近にあるのに不思議な水。今回はそんな水の性質を見てみよう。
氷の方が水より重い
普通の物質は液体よりも固体の方が密度が高い。それは下の図(下手糞)のように分子が整列するためだ。
しかし、水は逆に氷(固体)の時の方が分子同士の隙間が大きくなってしまう。そのため普通の物質と違って液体より固体の方が密度が小さくなる。氷が水に浮くのはそのためだ。
実はこの性質は地球にとって非常に重要な性質なのだ。
地球では水が循環している。この循環により酸素や栄養、温度が全ての場所に行き届く。海では海流が起こることで水が循環している。海流が起こるメカニズムは、南極や北極に近い場所で海上に浮いている氷が溶けて深海に向かう流れができるためだ。
もし、氷が水より密度が高かったら氷は海の底に沈んだままになり、循環が生まれなくなってしまう。循環が無くなると、気温は赤道付近だけ異常に高く、極地周辺は異常に寒くなりとても生物が生息できる環境ではなくなってしまう。
温まりにくく、冷めにくい
この性質を持つ水が人間の『体温を一定に保つ』重要な役割を担っている。人間の体の70%を占めている水が、温まりにくく、冷めにくいという性質を持っているために、人間を含めた恒温動物の体温が夏でも冬でもほぼ一定になる。
生物の体を水以外の液体が構成していた場合は体温を一定に保つことができずに絶滅してしまうことになる。
また、地球の表面の7割は海が占めているが、太陽からの熱エネルギーを貯めておくという働きも担っている。もし水にこの性質がなければ太陽光が当たらない夜の部分は気温がガクッと下がり生物は生きていけなくなる。
イオンを発生させる
水という液体は、溶けた物質をイオンの単位に分解するという性質がある。身近な例を挙げると、塩(塩化ナトリウム:NaCl)は水に溶けるとNa+(ナトリウムイオン)とCl–(塩化物イオン)にわかれて溶液中に存在している。他の物質ではほとんど起こらない状態だ。
このイオンという状態は普通の状態と比べ物にならないほど化学反応を起こしやすい。そのため様々な科学実験では水に溶かしてから化学反応を起こす。
水にこのような特徴があったため、太古の地球で様々な化学反応が起こり生物が誕生したとされている。もし水にこの特徴が無かったら生物は生まれてきたいないだろう。
磁石から逃げる
これは水の『反磁性』という性質によるもの。この性質を持った物質は磁石などの磁力を持った物質が近づくと反発する。
水にもこの性質があり、普通の磁石ではこの現象は観察できないが、強力な磁石を近づけると反発して離れていく。水を張った水槽に8T(テスラ)以上の強力な磁石を沈めると、水が真っ二つに割れてしまう。この現象はユダヤ教の経典旧約聖書の話にちなんで『モーゼ効果』と呼ばれている。
モーゼは海を真っ二つに割って人々を助けたとされているが、実は超強力な磁石を持った未来人だったのではないだろうか・・・
あらゆる物質を溶かす
水は様々な物質と反応し、ほぼ全ての物質を溶かす究極の溶剤と言える。他の液体では容易に溶かすことができない金でさえ、水は長い時間をかけて少しづつ溶かしてしまうほどだ。
海水には酸素を始め、栄養分、毒物まで自然界に存在するさまざまな物質が溶け込んでいる。水にこれだけの溶解能力がなければ、地球上で生命が誕生することは無かっただろう。
海水だけでなく、この性質は人間を含めた動物の生命活動と重要な関わりがある。人間を例にすると、血液にはホルモン、アミノ酸、ブドウ糖、ミネラルが溶け込んでいる。血液も大部分が水からできているのでこれだけ多くの物質を溶かすことができる。この血液がなければ動物は全身に栄養を送ることができずに大型化することはできなかっただろう。地球上の動物はミジンコクラスの大きさが最大ということになっていたかもしれない。
まとめ
どうだろうか。
まるで地球上に生命を誕生させるために神様が作ったような性質ばかりだ。
このうちどれか一つでも欠ければ地球はただの青いだけの星になったいたかもしれない。
日本では水が手に入らないということは無い、というほど身近にあふれている。日常で水にありがたみを感じることは少ないかもしれない。
たまにはこの水に感謝してみるのもいいかもしれない。