日本に住んでいてとても汚い環境というものを目にする機会は少ないはずだ。これは日本の企業が利益だけに目を向けずに環境を考えているからに他ならない。(しかし、実際は今でこそ環境に配慮した経済活動を行っているが、日本も高度経済成長期には四大公害をはじめとして色々な環境汚染を起こしてきた。)
世界ではまだ環境のことを考えるレベルに達していない地域があることも確かだ。そんな地域をランキング形式で見てみよう。
ちなみに、福島がランクインしていないのは、先進国の厳しい基準により避難指示が出ただけで、福島よりひどいところはいくらでもあるためである。
11. 地球の衛星軌道
私たちの頭上には非常に危険な物体が浮かんでいる場所がある。それは地球の『衛星軌道』と呼ばれる場所だ。
ここは、地球の引力と遠心力が釣り合って永遠に地球の周りを回り続ける丁度いい高度なのだ。地表からの高さは36,000kmほどの衛星軌道には気象衛星や軍事偵察衛星など、様々な国の様々な衛星が存在している。
これらの人工衛星が故障したり必要無くなったりした場合、小さいものなら大気圏に突入させて空気との摩擦で燃え尽きさせて処分される。しかし、大きいものの場合はこの軌道に放置されることになる。そのため、この衛星軌道には1m以上のゴミは5000個、10cm以上のものは20000個以上、1cm以上のものは75万個、1mm以上のものは1億5000万個存在しているとされている。
このゴミの達が悪いところは非常に高速で移動しているという点で、秒速7kmにも上る。ライフルの弾でさえも秒速1.5kmほどということを考えると非常に危険なことが分かる。
今のところこの衛星軌道を清掃するための案は出てきていない。地球に落下して甚大な被害が出る可能性は常にあることになる。
10. インド ヤムナー川
Credit Enrico Fabian for The New York Times
この川はインドで一番有名な川、『ガンジス川』の支流に当たる。ヤムナ川のほとりには世界遺産であるタージマハルがあり、有名な観光スポットでもある。しかし、ヤムナ川は汚いことで有名なガンジス川を上回る汚さなのだ。
この川を見た時はまず、白くて奇麗に見える。しかし、これは汚染されたことによる汚い泡なのだ。この泡で水面はほぼ全て覆われている。この汚染の原因は下水処理施設の未熟さによる未処理の下水や工業排水・肥料など多種にわたる。
しかも、ヒンズー教徒はこの川で沐浴をしなければならないという過酷なしきたりがある。
9. 中国 / 田営(ティエンイン)
中国安徽省の田営市は鉛を生産している工業地帯。中国の鉛生産量の半分を占めると言われるほど大量の鉛が作られており、個の鉛による汚染が深刻な場所だ。
低レベルな技術、環境への影響を考えない違法な生産により、田営の途上には非常に高濃度の鉛が含まれている。そのため、普通の生活をしていればまず発症することが無い『急性鉛中毒』の患者が多い。また、個人経営などの小規模リサイクル工場が数多くあるため、モラルの低い経営者が多くいることも原因の一つだ。
2017年現在は地域住民の圧力によりこれらの悪質なリサイクル工場は営業停止になっている。
8.アゼルバイジャン/スムガイト
旧ソ連時代の大規模な工業地帯であるスムガイトは、40以上の工場が工業用や農業用の薬品を製造していた。これらの薬品は合成ゴム・塩素・アルミニウム・洗浄剤・殺虫剤などで、環境に対する影響が大きいものが多かった。工場が稼働していた当時は毎年7万トンから12万トンの有害物質を大気中に放出していたというデータもある。現在はほぼ全ての工場が閉鎖されており、工場の跡地にはきちんとした処理をされていない有害物質が大量に残されている。
ガンにかかる確率はアゼルバイジャンの平均よりも50%も高く、影響は30万人にも及んでいる。
7. インド / バピ
引用元:ANONHQ.COM
この画像を見ると、この場所がどれだけ汚染されているかハッキリと見て取れる。この川の上流に汚染の原因がある。川沿い数百kmにわたり工業団地『黄金地帯』が立ち並び石油化学製品や繊維、線量、革製品、を生産している。その時に出た排水をこの川に垂れ流しにしているのだ。そのため、この川の下流に位置しているバピの水には安全基準の実に96倍もの水銀が含まれている。などが作られています。
かつて日本で大問題となった公害、『水俣病』に似た症状の子供が数多く生まれてしまっている。
6. ロシア / ジェルジンスク
引用元:CBRNePortal
ジェルジンスクは非常に汚染された場所の一つだ。この場所の平均寿命は43歳となっており、汚染の酷さを物語っている。
この地がここまで汚染された原因は冷戦時代までさかのぼる。冷戦中、ジェルジンスクは化学兵器の生産拠点となり、数多くの工場が立ち並んだ。その工場で作られていたのはサリン・ダイオキシン・VXガス・青酸ガスなど様々な猛毒物質たちだ。
さらには、史上最悪の原発事故が起こったチェルノブイリから200kmしか離れておらず、いまだに放射線が普通の土地の数十倍検出されている。
化学兵器と放射線。汚染の原因が複数ある珍しい場所だ。
5. ロシア / カラチャイ湖
引用元:Wonderful lake Karachay is one of the deadliest places on Earth
カラチャイ湖の周辺にあった核廃棄物処理工場で起きた事故により高濃度の放射性物質がたまっている。
事故が起きた1950年代には放射線の危険がまだあまり知られておらず、放射性廃棄物質を川や湖に垂れ流しにしていた。その後、なにかしらの悪影響があるということが研究者の間から言われ始め、廃棄物をタンクの中に貯蔵する方法がとられるようになった。
タンクの中では核反応が起き続けており、大量の熱を放出し続け、大爆発を起こした。その時の爆発は非常に規模が大きく、煙が1kmの高さにまで上がった。この煙には当然放射性物質が大量に含まれており、被害が広範囲に広がってしまった。
現在も汚染されたままであり、この美しい景色を1時間眺めると死亡してしまうといわれている。
4. ウクライナ / チェルノブイリ
有史以来最悪の原発事故が起こった場所チェルノブイリ。
1986年の事故後、この街の住人は一部を除いて全員退去した。そのためゴーストタウン化し、野生動物たちの宝庫になっている。
事故が起こった原発の内部には『象の足』と呼ばれる超高レベルの放射線を今も出し続けている物体がある。象の足は事故で漏れ出したプルトニウムで出来ており、一時間当たり80svの放射線を出している。人間の致死量は7svなので、象の足の近くに300秒いるだけで死亡してしまう計算になる。
さらに、プルトニウムの半減期は2万4000年もあり、チェルノブイリの自然が元に戻るにはあと数万年の時間が必要になる。
3. 中国 / 臨汾(リンフン)
リンフンは長い間世界一汚染された都市第一位に君臨し続けた都市だ。『洗濯物を外に干すと乾く前に真っ黒になってしまう。』『マスクを一日中付けると真っ黒になってしまう。』などの話を聞くだけでどれだけ汚染されているか分かる。
この都市ではマスクは白よりも黒の方が人気が高い。これは、黒の方が汚れが目立たず精神衛生上いいためのようだ。
現在は多少改善がみられ、一位の座を明け渡してしまった。
2位 北太平洋旋廻(せんかい)
北太平洋旋廻という言葉を聞いたことがあるだろうか?北太平洋と言えば日本も含まれているが、この存在を知る人は意外と少ない。
北太平洋旋廻は別名『北太平洋ゴミベルト』とも呼ばれ、多量のゴミが海流に乗って流れている場所だ。このゴミベルトに漂っているゴミの量はテキサス州2個分(日本の国土面積の3~4倍)程もあると言われている。
実は日本の近くにも汚染された場所があったのだ。
1位 アフヴァーズ イラン
WHO(世界保健機関)によれば、イランにある『アフヴァーズ』が世界で一番汚染された都市とされている。画像を見ても遠くの景色が霞んで見えるほど汚れており、全員マスクかハンカチで口を押さえている。
この大気汚染物質の正体は自然環境によるよるものだ。この都市は砂漠の近くにあり、常に砂嵐が吹いているのだ。さらに、この砂はただの砂ではない。この近辺には豊富な地下資源が眠っており、開発が急ピッチで進められている。その副産物である石油・石炭・天然ガスの燃えカスが混じっているため、『亜硫酸』(硫酸の一種)が含まれているのだ。
砂だけでも多量に吸い込めば呼吸器系に悪影響が出てしまう。その上、硫酸が含まれているとなると健康への悪影響は計り知れない。これが原因で1位に選ばれてしまった。
まとめ
人間が生きていく上で、経済活動は必須だ。
豊かさを追い求めて環境を汚すのか、環境に影響がない程度の豊かさにとどめるのか。
人間にとってどちらが幸せなのだろうか。