世界には私たちが想像もつかないような高価なものが存在する。
高価な物質は人を幸せにもするし、不幸にもする。
太古の昔から変わらない事実だ。
今回はそんな物たちを1gあたりの金額で比較してランキング形式で発表していこう。
10位 ヘロイン 2万円(高純度のもの、1gあたり)
ヘロインと言えば名前を聞いたことがある方も多いはずだ。映画でマフィアが取引をしているシーンで出てくるアタッシュケースに入った白い粉は大体の場合これだ。
大麻、コカイン、覚せい剤など、数々の麻薬が存在しているが、ヘロインは『史上最強のドラッグ』の座を譲ることはない。非常に強い幸福感と禁断症状の地獄の苦しみにより、全ての薬物のなかで最強と言われている。
別名「天国に一番近いドラッグ」、「麻薬の女王」と呼ばれることもある。
その名の通り使用すると人間が生活する中で絶対に味わえない快感が待っている。男性の場合は「全身の細胞が射精しているような快感」女性の場合は「全身がクリ○リスになったような快感」と表現されたりもする。
ヘロインの原料であるモルヒネもかなり強い麻薬だが、こちらは医療に使われている。※医療現場で使用する場合は使用する量などを厳格に管理しているので中毒になる心配はない。
上記の価格は末端価格なので使用者が手に入れようと思ったらこの値段になる。一回の使用量は中毒者で40mg程度。1gあれば25回分だ。
9位コカイン 4万円(1gあたり)
洋画で鼻から吸引する描写をしている場合、ほとんどがコカインだ。
原料は南米原産のコカの木。麻酔薬として発見された。しかし、麻酔の副作用として気分が高揚するなどの症状が出たので麻薬としての用途が見つかった。現在も医療現場では表面麻酔として適正に使用されている。
コカインの売買で有名な人物と言えばパブロ・エスコバルだ。彼はコロンビア最大の麻薬組織メデジン・カルテルを作り、「麻薬王」として世界中に名を轟かせた。その彼が扱っていたのがコカインだ。
コカインを製造した組織から密輸組織に売る際は1kg当たり1ドル程だが、最終的に乱用者に届くころには3.6万ドル(約400万円)になるのだ。
有名な都市伝説で「コカ・コーラにコカインが使われている。」というものがあるがこれは本当の話だ。1886年にコカインとカフェインが含まれているコーラの実を使用して作られたのがコカ・コーラだ。しかし、1929年にはコカインの含量が0になっているので現在のコカ・コーラは安心して飲んでいい。
コカインは覚せい剤と似た症状が出るが、持続時間は30分程度と短い。覚せい剤が12時間ほど作用することを考えるととても短い。肉体的依存はほとんど無く、精神的依存が主。だからと言って他の麻薬と比べて安全というわけではない。
一度でも麻薬に手を出してしまうと、他の強い麻薬を使うのに抵抗がなくなってくる。なので、どんなに弱い麻薬であっても手を出さないことが大切だ。
8. LSD 30万円(結晶として固められたもの、1gあたり)
LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)は強力な幻覚剤。切手ほどの大きさの紙にLSDを染み込ませて舌の裏などに入れておくと、口の粘膜から吸収される。戦時中には敵を無力化するために研究されていた。
LSDを摂取すると、光が強烈にまぶしく見えたりする。使用者は「万華鏡の中にいるようでとても幻想的だった。」という感想を述べる人が多いようだ。さらに、その後には、強い感謝と幸福感が出てくるそうだ。
なんとiPhoneを開発したアップル社の前CEOスティーブ・ジョブス氏も若い頃に使用していたというから驚きだ。
ジョブズはこう述べている。「LSDを使用した経験は、人生で行ったことの中で最も重要な2-3の出来事のうちのひとつだ。使用したの経験がない人には、理解できないだろういくつかの事柄がある。」
実はLSDを使用している画家は多い。絵のスタイルがとても大胆になり評価が高くなった人も多数いるようだ。さらにLSDはただの幻覚剤であり、依存性はほとんどないという説もある。
※いくら依存性が弱いとはいえ、違法なので絶対に使用しないこと。
7. プルトニウム 40万円(1gあたり)
プルトニウムは日本人なら知っておかなければいけない物質だろう。
長崎に落とされた原爆が”プルトニウム”原爆だ。ちなみに広島に落とされた原爆は”ウラン”原爆。
プルトニウムは元々自然界にはない元素で、人工的に作られたものだ。原子力発電所の原子炉の中で核分裂が起こる過程で自然に作られる。原子力発電所の燃料はウランだが、反応中にプルトニウムが出来上がる。
プルトニウムはウランよりも不安定な物質で容易に核分裂を起こす。(化学の世界では、不安定な物質ほど安定な物質に戻ろうとする力が強いために高エネルギーだとされている。)そのため、プルトニウム原爆の方がウラン原爆よりも威力が高い。
しかし、長崎の方が被害が少なかったのは地形のためである。長崎は山に囲まれており、盆地になっているので外側にまで熱線が届かなかったのだ。平地の広島では威力が低いウラン原爆だったにも関わらず被害は長崎よりも大きくなってしまった。
5. ターフェ石 200万円(1gあたり)
ターフェ石(ターフェアイト)はスリランカ産の宝石だ。1945年にアイルランド人のターフェ伯爵によって発見される前は他の石ころと同様に捨てられていた。伯爵が分析を依頼して初めて宝石と認められたのだ。
この石は美しいと同時にとても入手困難な宝石として知られている。1980年初頭には世界で10個ほどしか発見されていなかった。やはり数が少ないものほど高価になるのは仕方がないことだろう。需要と供給のバランスだ。
ちなみに、画像のターフェ石で横幅が7mmほど。これで60万円だ。
4. トリチウム 300万円(1gあたり)
トリチウムは水素の一種だ。(一種と言うと語弊があるかもしれないが。)基本的に水素は原子核に陽子が一つ、原子核の周りを電子が一つ回っている。一方、トリチウムは陽子が一つ、中性子が2つ原子核に収まっている。そのためとても不安定な状態であり、β崩壊を起こし、ヘリウムに変化してしまう。
要するに放射能を持っているのだ。半減期は12.3年で、12年たつとトリチウムの量は半分になってしまう。
トリチウムは水の中の水素として存在しているため、分離して取り出すには電気分解が必要になる。大量のトリチウムを分離するには大量の電力が必要になるので高価になる。
4.ダイヤモンド 550万円(1gあたり)
ダイヤモンドは世界で一番有名な物質といっても過言ではないだろう。
なぜ、ここまで世界に出回っているのにダイヤモンドが高価なのか不思議に思ったことはないだろうか。
その理由は、
- 地中深くまで掘らないといけない。
- 希少価値が高い。
- 加工するのにお金がかかる。
1.地中深くまで掘らないといけない。
ダイヤモンドが存在している深さにある。ダイヤモンドは基本的に地表から150kmほど掘り進んだところにある。そこまで人の力で掘り進むのは難しいため現在は地殻変動などで地表に出てきているものを採掘している。
2.希少価値が高い。
ダイヤモンドは原石を掘り出してから、加工していく中で品質が分かる。その際に宝石と呼べるほど良質なものが少ない。品質が悪いものならそこらじゅうで手に入れることができる。
3.加工するのにお金がかかる。
ダイヤモンドの硬度は世界で一番硬い。加工する際はダイヤモンドカッターを使用する。ダイヤモンドカッターには名前の通りダイヤモンドが埋め込まれており、カッター自体の値段が高価だ。そのため加工にお金がかかってしまうのだ。
3. ペイン石 3000万円(1gあたり)
ペイン石は1956年に新種の宝石として認められてから1979年まで実に23年間もの間たった2粒しか発見されていなかった。この話だけでもペイン石がどれだけ希少なものかわかるだろう。日本では宝石店の店頭で見る機会は少ないだろう。
この宝石の所有者が少ないため、参考になる資料がほとんど見つからなかった。
2. カリホルニウム252(1gあたり) 27億円
カリホルニウムという名前を聞いたことがあるだろうか。日本人なら誰もがお世話になっている”あること”に使われている。
原子力発電所だ。
カリホルニウムは中性子を出す。そのため中性子発生源として、原発の開始剤に使用されている。
原発を稼働させる時にこれだけ高価な物質が必要になるので、不具合があってもあまり停止させたがらないのだ。
1位 反物質 63兆4000億円(1gあたり)
反物質と聞いてもピンとこない人が多いかもしれない。これは最新の研究により発見された物質だ。反物質という名前の通り、普通の物質とは異なる性質を持っている。
反物質は普通の物質と瞬時に反応する。(この現象を対消滅という。)
その際のエネルギーは莫大で1gの反物質が対消滅を起こすとスペースシャトルの外部燃料タンク24個分のエネルギーが得られる。なぜこんなに莫大なエネルギーが得られるのかというと、反物質は反応の際に質量全てがエネルギーに変わるためだ。
悪名高い原子爆弾でさえも質量の数%(0.7g程)がエネルギーに変わっているだけなのだ。これを考えると反物質のエネルギーがどれだけ莫大かわかるだろう。
しかし、すぐに実用化、というわけにはいかないようだ。この物質は全ての物質と反応してしまうため、保存するのが極めて難しい。空気中の酸素、窒素などとも反応してしまうので、保存方法として現在開発されているのが磁力により何もない空間に固定するというものだ。反物質は質量がものすごく小さいため、力に偏りがあると一瞬でタンクの金属と接触し反応してしまう。
もし保存方法が確立されれば、燃料タンク、燃料の重さが劇的に軽量化できるので、自家用車で宇宙へ行く時代も夢ではない。
最後の問題は反物質の値段だろう。
まとめ
いかがだったろうか。もしかすると「10gくらい持ってるよ!」という勝ち組の人もいるかもしれない。
上位2つの物質なら1gあれば一生遊んで暮らせる金額だ。理系の道に進んで自ら作り出せるようになってほしい。もし作ることができたら、よければ私にも1g分けてもらえないだろうか。
しかし、高価な物質の10位以内に麻薬が3種類も入っているのは嘆かわしいことだ・・・