世界で最も死亡率が高い感染症ランキング

感染症をの怖さを測る上で、大事なのは感染力と、死亡率。これはWHOなどの世界的な疫学を調査している機関が使用している指標だ。感染力と死亡率をかけ合わせることで、流行した際の危険度を測っているのだ。

しかし、自分に感染した場合に怖いのは死亡率の高さだけ。他の人にうつるなんてことを気にしている余裕は無い。そこで今回は死亡率だけに注目して感染症をランキングしてみた。ランクインしている病気には絶対にかからないようにしよう。


目次

10位 破傷風(致死率40%)

 

破傷風は嫌気性(酸素に触れると死んでしまう性質)の菌で、基本的に土の中に生息している。日本も含め、世界中の土壌に生息しているので注意が必要。嫌気性なので一度空気にさらせば問題無いが、転んでケガをした時に傷口に直接金が侵入してしまうと感染が成立する。

感染が成立した後、なぜかは分かっていないがヒトの中枢神経にこのんで住みつき、毒素を放出する。この毒素は『テタヌス毒素』と呼ばれ、地球上に存在している毒の中でもNo.2の強さを誇る。致死量は20ng。→一滴で危険!?世界の猛毒ランキング

破傷風にはワクチンがあるので予防することができるが、予防できずに中枢神経に入りこまれた場合治療は困難になる。

テタヌス毒素に特徴的な症状は『弓なり反射』と呼ばれるものだ。ブリッジのような体勢で体を反らせ、最悪の場合は背骨が折れることもある。

発展途上国に感染者が多いので、旅行する場合は必ずワクチンを打っておこう。

 

9位 黄熱(致死率45%)

黄熱は蚊(主にネッタイシマカ)に刺されることで感染してしまう病気。発熱・寒気・頭痛・筋肉痛・吐き気などが主な症状。アフリカ大陸北部や南アメリカ大陸北部が主な流行場所。黄熱による死亡者の9割がアフリカ大陸に集中している。有効なワクチンがあるので特にアフリカ大陸を訪れる際は必ず予防接種を受けるように。

主な症状だけを見ればそこまで死亡率が高そうには見えないが、重症例では、数時間から2日後に再燃し、発熱、腎障害、鼻や歯根からの出血、黒色嘔吐、下血、子宮出血、黄疸などがみられる。この黄疸がでるために『黄熱』という名前が付いた。

 

8位 Bウイルス(致死率50%)

Bウイルスは比較的最近発見されたウイルスだ。感染源はアカゲザルなどの旧世界ザルでに咬まれることで感染する。

初期症状として接触部の激痛、掻痒感、外傷部周囲の水疱や潰瘍、中期症状として発熱、接触部の感覚異常などであり、末期症状として意識障害、脳炎を起こして死亡する。生存例でも重篤な神経障害が後遺症が残る。

感染した症例は世界で40例ほどしかなく、治療法や予防法は確立していない。とにかくサルに咬まれないようにするしかない。

 

7位 鳥インフルエンザ(致死率60%)

鳥インフルエンザは主に鳥に対して感染性を示すA型インフルエンザウイルスがヒトへ感染した場合に発症する感染症。人におけるほとんどの感染者は、 感染した家きんやその排泄物、死体、臓器などに濃厚な接触がある養鶏場の職員が多い。今のところ日本で発症した人は確認されていない。

基本的にインフルエンザウイルスは寄生する種類が決まっており、鳥インフルエンザは人には感染しにくい。しかし、ウイルスは単純な構造をしているため突然変異を起こしやすく、いつパンデミックが起こるかは分からないと考えられている。1997年にヒトで流行した際の死亡率は20~30%だったのに対して、2004年の流行では60〜70%と極めて毒性が強力に変異している。

今後、鳥から人へ容易に感染できるタイプに変異する可能性もないとは言い切れないので注意が必要だ。

 

6位 ペスト(致死率65%)

ペストは中世ヨーロッパを震撼させた非常に危険な感染症だ。感染すると、1週間ほどの潜伏期間を経て40℃を超える高熱、頭痛、筋肉痛などの激しい症状が現れ、脾臓・肝臓・骨髄を犯し、3~4日後に敗血症を起こして死亡してしまう。感染源はネズミで、ネズミの血を吸ったノミがヒトの血を吸うことで感染する。14世紀にヨーロッパで大流行した背景には『魔女狩り』という悪習がある。魔女の手先とされていた猫も狩りの対象になり、天敵がいなくなったネズミが大量発生したのだ。

ペスト感染者のうち10%程度は主な局所症状がないままに手足の指が壊死して黒く変色して死亡する。そのため、ペストは別名『黒死病』とも呼ばれている。症状の末期になるとほとんど患者は肺ペストという状態に移行する。肺ペストになるとほぼ100%死亡してしまう。この状態の患者が吐く息にはペスト菌が大量に含まれており、さらなる感染の拡大が起こる。

ただ、現在では抗生物質が有効になっているので21世紀の日本では死亡例はない。

 

5位 マールブルグ病(致死率80%)

マールブルグ熱は新興感染症に分類される比較的最近発見されたウイルスだ。1967年に初めて感染者がでたのが西ドイツのマールブルグだったのでこの名前が付いた。最初の感染者はワクチンの開発に携わっており、ウガンダから輸入されたミドリザルを解剖していた。そのためこの時点では感染源はサルであるとされていたが、後の感染者はサルに接触しておらず、共通している点が無いため感染源は未だに不明のままである。空気感染の可能性もいまだに否定されていないのが恐ろしいところだ。

マールブルグ病は出血熱に分類される。出血熱ウイルスに共通する症状として、全身の粘膜からの出血がある。潜伏期間は3~10日、発症は突然起こる。初期症状は全身倦怠感・発熱・頭痛・嘔吐・下痢・筋肉痛・皮膚粘膜発疹・咽頭痛、1~2日後には吐血・下血・水様性下痢。1週間後に臀部、上肢外側に暗赤色丘疹が出現。最終的にはDIC、ショックに至り死亡してしまう。(※DICとは本来出血部位だけで起こるはずの血液凝固反応が全身の至る所で起こる病気。早急に治療しなけらば死にいたる。)

エボラ出血熱のように大量に感染者を出すような事例が無かったため、感染力は弱いとされていたが、2005年にアンゴラで大量に感染者が続出し300名前後が死亡したため、感染力が強くなる突然変異を起こした可能性がある。

 

4位 エボラ出血熱(致死率85%)

言わずと知れた恐怖の感染症。『体中の穴という穴から出血する』という誤解も手伝い、映画や漫画の題材にされたため知名度ならNo.1だ。実際には毛穴からも血が噴き出すということはなく、病気自体は静かに進行する。

エボラウイルスは人類を苦しめるために生まれてきたような特徴を多数持っている。①人間の免疫を完全にすり抜けることができる。②体を構成しているタンパク質を分解する毒を放出する。③人間の免疫系統を操り、血管を破壊。その後、肝臓などの主要な臓器も破壊する。

②の毒素で体の組織を形作っているコラーゲンを主に破壊し、歯ぐきなどの粘膜から出血するようになる。特に目の粘膜を好む習性があるようで、完治したとしても失明してしまう可能性が高い。

有効な治療法は見つかっておらず、対症療法しかない。2000年頃にはエボラに感染して完治した患者の血清にウイルスを殺す作用があることが分かってきている。


 

3位 HIV感染症(致死率90%)

HIV感染症は人類を絶滅させるために誕生したと言っても過言ではない危険なウイルスだ。人類が繁殖するための性行為で感染し、潜伏期間が非常に長く、発症したらほぼ100%死亡してしまう。絶対に感染しないように不特定多数の人との性行為は避けよう。

HIVは基本的に感染力が弱く、コンドームを付けずに性行為をしたとしても感染する確率は1%以下とされている。しかし、その低さゆえに「まさか自分が感染するはずは無い。」という隙のある考えを生みだしてしまうのもここまで広まった要因だろう。

最近はウイルスが変異している可能性も示唆されている。基本的にHIVの潜伏期間は10年~20年ほどある。しかし、最近発見された新型HIVは潜伏期間がほとんどなく、感染してから3年程度で発症してしまう。

少しでも心当たりがある行為をしたら、まずは無料で検査をしてくれる保健所に行ってみよう。

 

2位 肺炭疽症(致死率92%)

炭疽菌が感染することで発症する「炭疽症」。その中でも極めて重篤な症状を引き起こすのが肺に感染した場合の肺炭疽症だ。この菌は日本で一番有名な宗教団体である「オウム真理教」がバイオテロとして散布したのが記憶に新しい。

炭疽菌は土壌の中に広く生息しており、『芽胞(がほう)』という状態になることができる。芽胞になると冬眠状態になり、あらゆる環境の変化に強くなる。この状態で乾いた土の中でも数十年生き続けることができる。そのため、生物兵器として保存するのが容易であり、各国が研究しているという噂もある。

この芽胞の状態の炭疽菌が皮膚に付着すると、真っ黒に腫れあがったニキビのようなものが体にできる。これが炭に似ているためこの名前が付いた。皮膚に付着しても致死率は10~20%程度ある。

この菌を吸い込んでしまうと肺炭疽症を発症する。肺の中でも同じようなでき物が肺の中に発生する。そのため、呼吸困難に陥り死亡してしまう。

治療法は抗生物質が有効であり、早急に治療をすれば致死率を70%程度にまでは下げることができる。

 

1位 狂犬病(致死率100%)

狂犬病は現在の日本では根絶されている病気なので、そこまで恐ろしいイメージは無いかもしれない。しかし、日本でも『狂犬病予防法』が制定される1950年以前は多くのヒトが狂犬病に感染し死亡していた。

このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅できた。

しかし、世界的に見れば狂犬病を撲滅できている国は日本、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、スウェーデン、アイルランド、ノルウェーだけとなっている。それ以外の地域を訪れる際は狂犬病のリスクがあることは頭に入れておこう。世界では毎年5万人が狂犬病により死亡しているのだ。

2000年以降に2人の日本人が狂犬病にかかり死亡しているが、2人ともフィリピン、ネパールを旅行中に発症した輸入症例だ。

狂犬病ウイルスが体内に侵入すると、1~3か月の潜伏期間を経て中枢神経を中心に破壊していく。一番特徴的な症状としては『水を極端に怖がる』こと。このような症状があらわれるともうすでに手遅れ。『発症後の有効な治療法は無い』と厚生労働省がハッキリと言い切るほどに手の打ちようが無いのだ。発症前の潜伏期間であればワクチンを接種して生存する可能性がある。

ワクチンの投与無しで発症から回復した例は世界で1例のみ。

2004年10月、アメリカ合衆国ウィスコンシン州において15歳の少女が狂犬病の発病後に回復した症例がある。これは発病後に回復した6番目の症例であり、ワクチン接種無しで回復した最初の生存例でもある。(引用元:狂犬病|wikipedia)

感染後の治療はほぼ不可能だが、感染前にワクチンを打てばそもそも感染しない。そのため、海外に旅行する際は必ず狂犬病のワクチンを打ってから行くように。3回の接種が必要で、効果は3年間もつ。

 

番外編

2020年中国で猛威を振るっている「コロナウイルス」は2020/2/1現在、感染者1万人に対して死者は250人。

つまり致死率は2.5%ほど。

毎年流行するインフルエンザの日本での致死率は0.1%にも満たないことを考えると、かなり危険度は高い。

ただ、このランキングの上位を占めている感染症たちに比べると、危険度はかなり低いともいえる。

 

ただ、ウイルスは突然変異をしやすく、今後どのような経過を辿るか予想できないので、気を付けておいた方がいいだろう。

 

まとめ

世界には恐ろしい病気が数多くあるなぁ・・・。特に1位と2位は致死率が100%の病気ということでギネスブックにも載っている。ギネスブックって凄い。

感染症の場合は自分だけではなく、家族や友人にも危険が及んでしまう。危険な地域にはできるだけ近づかないようにしよう。

 

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